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第10回のテーマは「平面図形 相似比と面積比」です。今回は相似比を使って、「相似比から辺の長さを出せる」こと、「相似比から面積比を出せること」が目標となります。レベルが高くなると、図形の中に隠れた相似の関係を、自分で見つけ出す必要があります。
相似な図形はいつも同じ向きで出てくるとは限りません。相似な図形を見つけるときには、角度を調べ印をつける工夫が大切です。こうすることで図形の向きも把握することができます。図形に印を書き込みながら考えることがポイントとなります。
相似は他の図形の性質と合わせて、難問も出題されやすい単元です。もちろん入試頻出単元でもあります。しっかりと基礎を固めていきましょう。
「学び1」は相似な図形の導入です。相似とは、「大きさはちがっていても、形は同じ図形どうしの関係」をいいます。多角形の場合辺の長さは変わりますが、角度は変わらないことは押さえておきたい点です。ここではいろいろな相似を想像して話してみましょう。身近なものでは地図や地球儀、模型などがあります。相似とは何か?がイメージできれば、「学び1」は大丈夫です。
「学び2」では相似比について学びます。相似な図形は対応する辺(同じ向きに置いたときに、同じ位置にある辺)の長さの比が同じになります。このことを「相似比」といいます。219ページの「やってみよう!」を見てみましょう。正方形の例では対応する辺の長さが5cmと20cmです。したがって相似比は5:20=1:4となります。同様に三角形の例では対応する辺の長さが5cmと10cmです。したがって相似比は5:10=1:2となります。このように相似比とは、「対応する辺の長さの比」のことをいいます。
「学び3」では相似比と面積比について学びます。再び219ページの「やってみよう!」を見てみましょう。正方形の例では、相似比は1:4でした。正方形の面積は「一辺×一辺」です。第6回「割合と比 比の意味と操作②~比の決定・比例配分・逆比・比の合成~」で比も普通の数のように扱えることを学びました。
このことを利用すると正方形の面積の比は、(1×1):(4×4)=1:16となります。つまり、相似比がA:Bの場合、面積比は(A×A):(B×B)となります。このことは三角形や円でも同様で、相似な図形どうしであればすべての図形で成り立ちます。必ず覚えましょう。
「学び4」では相似な図形を探します。221ページの「やってみよう!」を見てみましょう。左下にある図形をおむすび形、右下にある図形を砂時計形と呼ぶことにします。ここからはテキストを見ながら、同じ角度に◯や×の印をつけて考えていきましょう。それではやってみましょう!
おむすび形では三角形ADEと三角形ABCを比べると、辺DEと辺BCが平行なため角ADEと角ABC(同位角の関係)は等しくなります(ここに◯の印をつけます)。同様に角AEDと角ACBも等しくなります(ここに×の印をつけます)。したがって2つの対応する角度が等しいので、三角形ADEと三角形ABCは相似になります。三角形において対応する2つの角度が等しい場合、相似になることを覚えておきましょう。
砂時計形でも三角形ADEと三角形ABCを比べると、辺DEと辺BCが平行なため角ADEと角ABC(錯角の関係)は等しくなります。同様に角AEDと角ACBも等しくなります。したがって三角形ADEと三角形ABCは相似になります。対応する角を◯や×で表していくと、対応する辺がわかりやすくなるため必ず印をつけましょう。
具体的に223ページの問4を使っておむすび形と砂時計形の相似比と面積比について説明します。①は辺DEと辺BCが平行なおむすび形の問題です。はじめに同じ角度に、◯や×の印をつけましょう。三角形ADEと三角形ABCが相似です。
おむすび形の場合、相似な三角形が重なっているので注意しましょう。辺ADと辺ABが対応するので三角形ADEと三角形ABCの相似比は4:10=2:5となります。したがって、辺DE(6cm):辺BC=2:5より、辺BCの長さは15cmとなります。また、三角形ADEと三角形ABCの面積比は(2×2):(5×5)=4:25となります。さらにこのことから台形DBCEの面積の比は25-4=21となります。
③は辺EDと辺BCが平行な砂時計形の問題です。ここでも同じ角度に◯や×の印をつけましょう。三角形ADEと三角形ABCが相似です。砂時計形の場合、相似な三角形の向きに注意します。対応する角度に注意してみると、辺ADと辺ABが対応していることがわかります。したがって三角形ADEと三角形ABCの相似比は5:12.5=2:5となります。このことから、辺DE:辺BC(16cm)=2:5より、辺DEの長さは6.4cmとなります。また、三角形ADEと三角形ABCの面積比は(2×2):(5×5)=4:25となります。
おむすび形、砂時計形は入試にも頻出の図形です。角度に印をつけて、相似な三角形を確認してから比を使うようにしましょう。図形の問題では、基本的な図形の性質から離れて、比の操作に集中するあまり誤答を招くことがよくあります。気をつけてください。
演習としては222ページから224ページは必修です。特に223ページの問4は入試で問われる基本的な形ですので、確実に理解しておきましょう。
227ページの問1、228ページの問2、問3、229ページの問4は図形に隠れたおむすび形と砂時計形を見つけられるかがカギを握ります。面積比を出す時には第9回で学んだ高さが等しい三角形の面積比も合わせて使えるとよいでしょう。229ページの問5、230ページの問6は直角三角形の相似を使う問題です。はじめに角度を調べながら相似な直角三角形を見つけてみましょう。余力があれば231ページの問9、問10にもチャレンジしてみてください。
第10回のテーマは「速さ 速さと進行グラフ」です。前回学んだ速さをグラフで表していきます。今回の目標は「グラフを読めること(グラフから状況を把握すること)」「グラフが書けること」です。もちろんグラフから読みとった情報を使って、速さ、時間、道のりの計算もします。
速さをグラフ化することは想像以上に抽象度が高く、わかりにくいものです。グラフの様子からどのくらいの時間でどのくらい進んだのか数字を書き出しながら考えていくとよいでしょう。今回もじっくり取り組みましょう。
「学び1」は進行グラフを読み取ります。進行グラフとは、人や物が進んでいく様子を表したものです。163ページの文章とグラフを見てみましょう。グラフの縦軸は道のりを横軸は時間を表しています。道のりは0kmのところが出発点、5kmのところが到着点となります。時間は左側に10時(出発時刻)、右側に11時(到着時刻)を書きます。このグラフは右上がりの直線になります。このように速さのグラフが傾いた直線の場合、一定の速さで進んでいることになります。
次に164ページの例1から例6を使って、速さのグラフの特徴をつかんでいきます。例1のグラフは右上がりの直線です。出発してから4分で800m進んだことがわかります。例2のグラフは右上がりの直線→水平な直線→右下がりの直線となっています。
10時に家を出発し、一定の速さで400m先のコンビニに10時5分についたことがわかります。その後10時10分まで道のりが変わってないことから、この間は移動せずにコンビニにいることがわかります。このようにその場所にとどまっている時は時間がすすんでも道のりは変わらず、水平なグラフになります。その後10時10分にコンビニを出発し、10時15分に家に着いたことがわかります。このように400m先のコンビニから一定の速さで戻ってくる時には、グラフは右下がりの直線になります。
例3のグラフは右上がりの直線ですが、途中で曲がっています。学校から家に向かう途中で「こわい犬」に遭遇したようです。学校から一定の速さで7分間、560m移動した(速さを計算すると560÷7=秒速80m)ところでこわい犬に出会ったことがわかります。その後、家までの残りの道のり540mを3分ですすんだ(速さを計算すると540÷3=秒速180m)ことがわかります。グラフが途中で曲がっているのは速さが変わったためです。速さが速くなるとグラフの傾き(グラフの角度)が大きくなります。基本はここまでです。
例1~例3から、グラフの形が右上がりの場合、出発点から到着点に向かって進んでいることを表し、右下がりの場合、到着点から出発点に向かって戻っていることを表しています。また、グラフが水平な直線の場合はその地点にとどまっていることを表しています。グラフの傾きは速さを表していて、傾きが大きいほど速さが速いことになります。
例4、例5は自分で考えてみましょう。例6は速さがだんだんと速くなるグラフです。進行グラフの特徴がわかったら166ページ、167ページの「やってみよう!」をやってみましょう。167ページの「やってみよう!」では家から駅までが800m、かかった時間が午前8時から午前8時40分とあるため、縦軸には100mごとに800mまで、横軸には8時から始めて10分ごとに8時40分まで目盛を取るとよいでしょう。
「学び2」では、2つのものの動きを進行グラフで表していきます。2つのものの動きには「出会い(すれちがう)」「追いつき(追い越す)」があります。異なる地点にいる2人が向かい合って進む場合、2人は出会います。異なる地点にいる2人が同じ向きに進む場合、後ろから追いかける人の方が速ければ追いつきます。
168ページの例1から例4を使って、2つのものの動きを進行グラフで見ていきます。例1は出会いのグラフです。Aさんは学校から駅に向かって、Bさんは駅から学校に向かって15時に出発したことがわかります。そして15時20分に学校から1200mの地点で2人は出会った(すれちがった)ことがわかります。このようにグラフの交点は2人が出会ったことを表しています。
例2は追いつきのグラフです。Aさんは学校から2400m離れた駅に向かって出発したことがわかります。少し遅れてBさんが学校を出発して同じ駅に向かう途中でAさんに追いついていることがわかります(グラフの傾きを見るとBさんの方が大きいため、Bさんの速さがAさんより速いこともわかります)。ここでもグラフの交点が追いついた(追い越した)ことを表しています。
例3は自分で考えてみましょう。例4は入試でもよく見るグラフです。AさんとBさんが25m離れたところから往復する様子が表現されています。ここではグラフの交点に注目して、AさんがBさんと何回すれちがったのか、また、AさんがBさんを何回追い越したのか考えてみましょう。
169ページの「やってみよう!」にも挑戦してみましょう。弟が出発した時間が10時で、10時40分におじいちゃんの家に着いています。横軸は10時から始めて、10分ごとに10時40分まで目盛を取るとよいでしょう。また、道のりは具体的には示されていませんが、おじいちゃんの家までを700mとして、縦軸は100mごとに700mまで目盛りを取るとよいでしょう。
演習としては170ページから172ページは必修です。「学び1」や「学び2」で学んだことを思い出しながらやってみましょう。174ページの問1、175ページの問2はグラフから情報を読み取る練習です。174ページの問1では何分で何m進んだのかを読み取りながら取り組みましょう。また、文章中の条件を読み取ることも忘れないようにしましょう。175ページの問2ではグラフの交点がポイントです。A、Bが同じ向きに進んでいれば「追い越し」です。反対向きに進んでいれば「すれちがい」となります。
176ページの問3、問4は入試さながらの問題構成です。文章中の条件を読み取ることはもちろん、問の中で聞かれていること以外にもわかることを探していきましょう。177ページの問6は今回の目標でもある「グラフを読めること(グラフから状況を把握すること)」を確かめるまとめの問題です。ぜひ取り組んでみてください。
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