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今月は、“チバニアン内定”、“米国の宇宙基地構想に日本も参加”と“アルマ電波望遠鏡完成”そして“水陸両方を生活の場とする新恐竜発見”について取り上げてみましょう。
“地球の歴史で最後に地磁気のS極とN極が反転した時代”を“千葉時代=チバニアン”として申請していることはメールマガジン昨年4月18日号でお話ししました。このほど、ユネスコの機関である「国際地質科学連合」が名称を「チバニアン」とする内定(正式発表は未だの状態)をしたことが11月13日に判りました。初めての日本名称が付くと関係者は大喜びしています。
地球の歴史を地球誕生の46億年前から大きく並べると次の通りになります。
このうち、新生代が以下のように分かれます。
さらに、第四紀が以下のように分かれます。
そして、更新世がさらに以下のように分かれます。
この様にみると生物、地殻変動、気象変動などの変化に伴って年代の名称がつけられているのですね。
実は人類の足跡の化石が確認された360万年前、つまり新第三紀の終わり近くの時代以降を「地質時代」と言います。地質時代は名称を細かく115に分け、各時代の代表的な地層1か所を「国際標準模式地」として選び、時代名称を決めることになっています。そこで名称が決まっていなかった最後の地磁気反転の時代がチバニアンに決まったのです。
地磁気の反転は地球史上何百回と反転していることが判っていて、この360万年間でも少なくとも11回反転しています。最後の地磁気反転の地層が見つかったのが千葉県市原市。他にもイタリアの2か所も申請を出していたのですが、地層の時代境界が最も明確なことがきめてになったようです。
2016年4月18日号のメールマガジンとあわせて読んでくださいね。
日本政府の宇宙政策委員会は12月1日米国が2020年代の後半に月の軌道上に建設を予定している宇宙基地に参画して日本人宇宙飛行士の月面探査を実現しようと方針を決定しました。
日本は科学技術衛星や宇宙探査衛星の分野では素晴らしい成果を上げています。先月11月16日号のメールマガジンで取り上げた「月探査衛星「かぐや」による月面基地に最適な空洞の発見」は数多い成果の一つです。しかし有人探査の分野では国際宇宙ステーション(ISS)に実験施設「きぼう」を作り日本人宇宙飛行士が活躍していますが、有人打上ロケットが無く、国際宇宙ステーションISSへの参加も2024年で終了してしまいます。そこで、米国航空宇宙局NASAが打ち出した「深宇宙探査ゲートウェイ」構想に参画し、宇宙開発競争に出遅れないように宇宙基地構想に技術面で貢献することとしたようです。
「深宇宙探査ゲートウェイ」とは月を回る周回軌道に宇宙基地を作り、月面基地による水や資源の補給を行い、火星に向かう宇宙船の中継基地とし、燃料や水の補給を計画しているのです。日本は、宇宙滞在や探査に必要とされる技術開発を行い、日本人による月面有人探査を実現し、科学技術の発展や産業競争力向上を目指しています。
南米チリ北部の標高5000mの高地に日米欧などが共同運営する世界最高性能の電波望遠鏡「アルマ」が完成し運用を開始しました。
光学式の望遠鏡は皆さんの身近にある望遠鏡からハワイ島にあるマウナケア山の「すばる望遠鏡」、宇宙にある「ハッブル望遠鏡」も光をレンズで焦点に集めて遠くの画像をみるものです。ところが、光はガスやチリが途中にあるとさえぎられてしまい、その向こう側を観測出来ません。電波は光より波長が長い(周波数が低い)ので、多少のごみや岩があっても回り込んで進んできます。大型のお椀のような形のパラボラアンテナで受信することが出来ます。星やガスの様な星間物質は光だけでなく電波も出しているので、それを捉え映像化することが出来るのです。
電波は光より周波数が低いため、どの方向からの電波かが判り難くなります。パラボラを大きくすれば良いのですが、必要とする大きさを作るのは機械的に無理になってきます。そこで複数のパラボラアンテナを用意して広く配置すると、巨大なパラボラアンテナを作ったものと同様の性能を出すことが出来るという解決策を見つけ出したのです。
アルマ電波望遠鏡は66台のパラボラアンテナを約16kmの範囲に展開することが出来ます。その分解能は300km以上先の1円玉を識別できる能力だそうです。皆さんは、すばる望遠鏡やハッブル望遠鏡が撮影した深宇宙のくっきりした素晴らしい映像を見たことが有ると思いますが、アルマ望遠鏡の分解能はその約20倍の能力に相当するようです。
生命の源となる宇宙空間にあるアミノ酸の発見、光学式望遠鏡や重力波望遠鏡との共同の巨大ブラックホールの研究などに関する成果が期待できるのだそうです。
ちょうど、チリにある光学望遠鏡で131億年前つまり宇宙誕生ビッグバンから約7億年後に誕生した太陽の約8億倍もある超巨大ブラックホールが発見されたとのニュースが12月7日に入ってきました。米国カーネギー研究所などのチームが発表した、宇宙誕生直後のこの時期に超巨大ブラックホールがあることに研究者も驚き、今後の初期宇宙の進化の解明につながる成果だということです。
アルマ電波望遠鏡の成果が早くでると良いですね。
モンゴルの約7500万年から7100万年前(中生代末期)の地層から水鳥の様な生態をもつ新種の恐竜の化石(全長約70cm)が見つかったと12月7日英国科学誌ネイチャーに発表が有りました。
この恐竜は、白鳥の様な長い首、ひれ状の前肢、口には魚を食べるのに適した多数の小さな歯が生え、陸上の2足歩行に適したしっかりとした脚を持っています。
この恐竜は陸上を2足歩行で移動し、食事は水中の魚や餌を取るため前肢で水をかいて進み、長い首を大きく動かして獲物を取っていたと推測されています。
この新種の恐竜は「小型獣脚類」に分類されますが、小型獣脚類からは現在の鳥類が誕生したものと考えられていますので、恐竜も多様な進化をしていたのですね。まだまだ解明されなければならないものが多いようですね。
中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区(中国の西端)にある約1億2000万年前の地層から翼竜の卵の化石215個が発見されました。その内16個を、中国科学院などの研究チームが、病気の診察で使っているCT(コンピュータ断層撮影法)で調べたところ、後ろ脚の大腿骨が発達しているのに翼を動かす筋肉がつく前脚の骨が未発達であることが判ったと米国科学誌サイエンスに12月1日掲載されました。
研究チームは孵化(ふか)直後の翼竜は飛ぶことが出来ずに親の世話が必要だったものと分析しているようです。
現代の爬中類(はちゅうるい)は卵を産みっぱなしにする種が多いのに、翼竜の親の方が進んだ世話をしていたようです。
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