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埼玉栄中学校に医学クラスが新設されて、今年で3年目を迎えました。医学クラスについては、将来、大学医学部受験を目指すご家庭を中心に、私共にも多くのお問い合わせを頂いています。そこで、同クラスでの教育の方針や特色について、埼玉栄中学校の原田道之教頭先生にお話をお聞かせ頂きました。原田教頭先生のお話からは、勉強だけでなく、大変盛んな部活動や学校行事を通して生徒さんたちの人間力を培ってきた埼玉栄中学校ならではの医学クラス教育の姿、キャリア教育の具体的な展望などをうかがうことができました。ぜひご覧ください。
原田教頭先生:勉強に特化するだけでなく、高校はスポーツでも有名ですので、そうした面を外してとは考えていません。特に医師になるのが不養生では困ります。先程も給食の時間に、中2の生徒に、医者が好き嫌いを言って、食事の管理栄養指導はできないよ、と話すくらい、そういうことが基本的に大事で、その部分がしっかりできてはじめて、勉強の方も頑張ろうというスタンスではないといけない、と考えています。
原田教頭先生:私共の学校では、中学高校、同じ建物の中でも、むしろ高校生の方が小さくなって、中学生の方がのびのびとしているんです。高校生は小さい子たちに気をつかって、お兄さん、お姉さんのような立場でいます。中学生は邪魔だからどけ、なんて感じは全然ない。そういう意味でも、部活で上下関係はもちろんありますが、先輩風を吹かすというよりも、後輩の面倒を見る、といったかたちはしっかりできていると思っています。そんな中から、自然とコミュニケーション力が培われていきます。そういう関係は同学年だけでは構築されないです。
原田教頭先生:文化系・体育系問わず、結構入っていますよ。生徒本人が好きなところに行くようにさせていますし、それを6年間続けるもよし、中学は部活に打ち込んで、高校は勉強に打ち込む、というのでもよしとしています。それは個人の判断として、何よりも中学・高校で何かをやりきったという成功体験がプラスになると思いますので、医学部だから勉強に専念しなさい、という話ではなく、勉強の大変さは伝えながらも、そういう部分もしっかりしなさい、という話はしていきます。
原田教頭先生:私も医学クラスの2年生の授業を持っていますが、一方通行の授業にならないように考え方を伝えて、対話するように授業を進めています。中学校は完全給食なので、私も一緒に食べながら、生徒の様子を見るようにしています。
原田教頭先生:中学校は義務教育なので、突飛なものをつくるのはよくない、と思っています。医者になるからといって、算数や理科に特化してできればよいのではなく、先程も話にありました、コミュニケーション力を培ううえで言葉は大事ですし、国語力も大事になってきます。医師になれば、高齢の方々と世間話をすることもあるのですから、社会の知識も必要、道徳の考え方も大事になってきます。当校のスタンスは、中学の期間は、義務教育の内容をしっかり学ばせる、特別に特化はしない、というものです。また、医学部を目指すうえで、中学の内容を中学の時点でしっかり押さえておけば、浪人する率は非常に少ないです。浪人をするのは高校で中学の内容の復習に時間をとられることが原因となることが多いのです。復習に1年半くらいかかってしまうこともある。それから始めて、では現役ではとても間に合いませんので、中学の内容をできるまでしっかり教えよう、という基本方針で授業を進めるようにしています。
高校2年くらいまでで、高校の全過程を終わらせることができるので、中学で無理な先取りをする必要はないと思っています。
原田教頭先生:医学クラスの生徒たちは、原則として高校ではαコースに入ることになります。αコースは理系・文系にわかれますので、理系のクラスに入れば理系科目を多くとっていますので、医学というクラスを特化しなくてもやれるであろうと思っています。特別に高校に医学という名称で別クラスを作らなくても十分に対応できると考えています。
ただし、やはり医学部を目指すためには、専門的な機関との連携も必要になりますので、医学専門の予備校さんとタッグを組んで、勉強方法を磨いていきたいと思っています。餅は餅屋で、データのある詳しい外部の力を活用していくことが、生徒たちを支えることになります。医学系に行くのならば、予備校に行くのが当たり前になっていますが、学校にいながらそうした勉強ができるといった環境づくりを進めていきたいのです。もちろん強制ではなく、生徒が選べるようなかたちをとれるようにはしますが、学校と別に予備校に通うといった、移動の負担、金銭面での負担を軽減させてあげたい。高校生は21時まで学校を開放しているので、そこで学校側としてもフォローしてあげられるような環境設定を考えています。面接演習ももちろん含めて考えています。面接の問題研究はすでにできています。
原田教頭先生:英語教育自体が変わってきていますが、その変化に踊らされないことも大事かと思っています。まずは「読める力」がないと始まらないので、読めるようになるために、文法はしっかり教えるように徹底しています。
ただ逆にそれが強すぎてしまうと、英語が楽しくなくなってしまう。いかに楽しみながら英語を学ぶ方法をどうつくっていくかを考えています。私共の学校にはネイティブの先生もいて、楽しませながらの授業を実践していますので、中学の間にそうした教え方を活用するようにしています。
この間も中2の生徒が鎌倉に行った際に、旅行客の外国の方々に自分から積極的に話しかけようとする生徒もいました。そういう姿勢を大事にしていきたい。いかに楽しみながら学ぶか、というかたちを模索しているところです。
高校になると、読む・聞くことを含めて進めていますが、これは、ちょっと異様な風景なんですが、ある時間になると、廊下をウロウロしながら英語の本を読んでいる生徒がたくさん出てきます。高校生は遅い時間まで自習をすることがあるので、せっかくの時間なので、少しでも有効に活用するように、生徒たちに、歩きながら英文を読ませることがあるんです。英文ならば何を読んでもよい、英単語の本でも、教科書でもよいので、とにかく五感をぜんぶ使って勉強することを試しています。40、50人もの生徒たちが、ブツブツと英語をつぶやきながら、グルグルと廊下を回っているんですから、かなり異様な光景ですよ(笑)。
英語で一番よくない勉強は、ただ見ているだけになることですから、そういうのを辞めさせるためにも、色々な方法を試行しながら、検証しているところです。とにかく英語は時間がかかる、けれど力がつけば安定して力を発揮できる科目だから、頑張ろうよ、と生徒には伝えています。
原田教頭先生:1年生は夏休みに帝京大の医学部にご協力頂いて、実際に大学の先生の指導を受けて、DNAの抽出実験をさせて頂いています。さらに食事もそこで頂いて、患者さんもいますので大々的にはできませんが、病院内の見学もしています。2年生は北里大の見学に行き、テレビに出るような手術室を見ることができた、と喜んでいました。お願いすれば、実際の手術の様子も見ることができるというお話もありますので、そうした機会を模索しています。
各学年に最低1回はいろんな所に行こう、と考えています。私共は日本大学と提携していますので、日大医学部にもアプローチをしています。また、埼玉医科大に聞いたところ、実際の医療器具を見せることができるので、そうした機械を見たり触ったりできますよ、と言って頂けています。学年が高校になったら、夏休みに、大学が講演会をするので、そちらに参加させたり、ということも考えています。
今は漠然と医者になりたいと言っている生徒たちも、そうした実地体験を積むことで、例えば実際に手術をする先生だけでなく、まわりに携わっている看護師の方がいたりとか、臨床工学士の方がいたりとか、そういった姿を見て、自分が本当に行きたい進路が見つかることもあるかもしれない、そうしたことも含めて、医学の世界に進むというモチベーションを維持させることが最大の目的であります。
北里大には、今回の相模原での見学だけでなく、白金に東洋医学研究所があるので、そちらも見せて頂きたいという模索もしています。白金のキャンパスに行くと、研究に特化する、という道があることも示すことができる。色々な選択肢を生徒たちに与えることも大事だと思っています。
原田教頭先生:そこまで直接的な結びつきまでは考えていないですが、公式を知っていて、あてはめて計算したら答えできあがり、という問題はやめたいと思っています。基本的な計算力は問いますが、この公式を知っていたらこの問題は解けてしまう、という問題で合否を出すのは疑問に思っています。幸いにして、作問する先生方がその点を考えて問題を作っているので、いわゆる考える力、先を予想して答えを組み立てる力を問うような問題づくりをしてくれています。それはそのまま継続して行きたいと思っています。一番よいのは、日常生活でこのようなことがある、それにはどう考えますか?という問題だとは思いますが、なかなかそのまま問題にするのは難しい。ですが、どの科目でも、少しでも考えるような問題にしたいとは思っています。
原田教頭先生:理科・社会を同じ時間に解くという形式は今後も変える予定はありません。理科・社会の難易度の差ということですが、平均点を見ても差がないので、そうしたことはないのかな、と思いますよ。逆にそうしてしまうと、その教科だけができる子をとってしまうことになり、意に反してしまいます。私共としては、万遍なくできる生徒さんが欲しいので、そこは気をつけて作成しています。
原田教頭先生:できれば続けたい問題のひとつですね。
原田教頭先生:それはないです。中学は文系・理系問わず万遍なくやりますし、私共の卒業生で、国立大学医学部に行った生徒も文系タイプの子でしたよ。あるお医者さんが、医者は文系タイプになってほしい、コミュニケーションなどを考えると、医者は文系タイプの方が向いているんだ、と言っていました。看てもらう側としては、お医者さんには声を聞いてほしいですよね。思いこみで、「咳が出るの、ああ風邪だね」で終わられては、そんなのはわかっているよ、それが長引いてるから来ているんだから、ちゃんと話を聞いてよってことありますよね(笑)。やはり医師になるには、コミュニケーションが大事ですから。自分が文系タイプ、理系タイプどちらだから向いているか、なんて考えないで受験をして欲しいです。文系タイプの生徒さんもしっかり育てていきますよ。
原田教頭先生:間違ってもよいから発信する、という姿勢を大事にして頂きたい。医療の世界でも、チームで意見を交し合ったうえで結論に至ることが多いので、失敗や間違いは恐れずに、自分がこう考えているけれど、どうだろうか、という発信が大事と思っています。
私も授業をする中で、こちらから指して答えさせるのではなく、自然に声が出るような環境づくりにつとめています。間違った意見も取り上げてあげて、確かにそうだけどこうなったらどうなる、という言い方で、フォローをしてあげて、間違った意見も尊重するようにしています。特に女子などは引っ込み思案になることがありますが、将来医師になるには、それではいけない。医師は特に瞬間的に判断をして瞬間的に指示を出したり、意見をまとめたりすることがたくさん出てくる仕事なのだから、間違っても発信する、という姿勢は大事にしていかないと、と伝えています。そうじゃないと、医学部の面接なんて耐えられないですよね。最終的には、生徒がお互いに意見をぶつけ合うような展開が理想と思っています。
原田教頭先生:それはよくないですよ。授業でも、質問でここまで来たけど、先生どうなの?には答えると言っています。どうやったらいいの?には、答えたくないです。ゼロから聞いてしまうと勉強にはならない、そこで間違えてもそこで学べばいいじゃない、というスタンスでいます。
医者は失敗が許されないことが多いのだから、それまでにいっぱい失敗をして、そこから努力する、というプロセスを持っていてくれないと、いけないと思っています。今のうちにいっぱい失敗をしておかないといけないですね。
原田教頭先生のお話をうかがった後に、校内を行き来される生徒さん達の姿を見て、その活力に満ちた表情がとても印象的でした。医師に求められる姿は確実に変わってきています。「2023年問題」と言われるように、2023年からはWFME(世界医学教育連盟)が定める基準に適合しなければ、国際的に医学部として認められなくなりました。それによって日本の大学医学部のカリキュラムでは、これまで以上に臨床学習の時間が増えていると聞きます。また、今年度より、東京大学の理科三類で、面接試験が復活しました。こうした動きは、医師に高いコミュニケーション力が求められていることの証しであり、それは埼玉栄中学校が培われようとする生徒像に一致するものです。ぜひ説明会や、学校行事に参加されて、学校の姿をご覧になってください。
イベントについての詳細は、学校HPをご参照ください。
われわれ中学受験鉄人会のプロ家庭教師は、常に100%合格を胸に日々研鑽しております。ぜひ、大切なお子さんの合格の為にプロ家庭教師をご指名ください。
文責:入試対策室 室長 貝塚正輝
(1968年東京都生まれ 筑波大学附属駒場中・
高等学校出身、慶應義塾大学経済学部卒)
頑張っている中学受験生のみなさんが、志望中学に合格することだけを考えて、一通一通、魂を込めて書いています。ぜひご登録ください!メールアドレスの入力のみで無料でご登録頂けます!