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第14回のテーマは「速さ 通過算・時計算」です。今回は旅人算の利用です。旅人算を使って問題を解いていきます。通過算では「視点を明確にして図を描くこと」「図を使いながら道のり、速さ、時間の関係を整理すること」ができるとよいでしょう。
時計算では「時計の角度について知ること」「長針と短針の動きを角度で考えること」が目標です。この単元では、第13回で学んだ知識を使うことがメインとなるため、つまずきの原因がどこにあるのかを特定する場合、注意が必要です。
そもそも旅人算の基本がわかっていないのか、図を描いて考えることができていないのかを見極めることができれば対策をとることが容易になります。入試でもよく出題される単元のため、前に戻って復習することも視野に入れて取り組みましょう。
「学び1」ではこれまでの速さの問題ではなかった幅について考えます。例えば列車には幅があります。平均的な列車は1両の幅(長さ)が20mだそうです。
322ページを見てみましょう。列車と列車がすれちがう様子を考えます。2つの列車の先頭が出会ったときがすれちがい始めです(322ページの一番上の図)。2つの列車の最後尾が重なるときがすれちがい終わりです(322ページの一番下の図)。
このような場合、視点を明確にすると、ものの動きがわかりやすくなります。列車の先頭に注目すると2つの列車の幅の和の分だけ移動したことがわかります。このように幅のあるものの出会いや追い越しを考える場合、先頭に注目するとものの動きの様子がわかりやすくなります。
「学び2」は通過算の解き方を学びます。幅がある列車の動きを考えるときには列車の先頭に注目します。324ページの「状況A」「状況B」を考えます。
はじめに「状況A」について考えます。分速1200mで、列車の長さ(幅)が120mある列車が電柱の前を通過する場合を考えます。列車が電柱の前を通過するのは、先頭が電柱にさしかかるときから、最後尾が電柱を通り過ぎる瞬間です。
電柱を中心に先頭が電柱にさしかかるときと、最後尾が電柱を通り過ぎる瞬間の図を描いてみましょう。先頭に注目すると、120m移動したことがわかります。このことから、分速1200mで、列車の長さ(幅)が120mある列車が電柱の前を通過するときにかかる時間は、120÷1200=0.1分=6秒となることがわかります。このように幅のある列車でも先頭に注目すると、旅人算と同じように考えることができます。
「状況B」ではどうでしょう。トンネルの長さを1080mとします。列車がトンネルを通過するのは、先頭がトンネルにさしかかるときから、最後尾がトンネルを通り過ぎる瞬間です。トンネルを中心に先頭がトンネルにさしかかるときと、後方がトンネルを通り過ぎる瞬間の図を描いてみましょう。
先頭に注目すると、1080+120=1200m移動したことがわかります。このことから、分速1200mで、列車の長さ(幅)が120mある電車がトンネルを通過するときにかかる時間は、1200÷1200=1分=60秒となることがわかります。
次は2つの動く列車の動きを考えます。
325ページの「状況C」「状況D」を考えます。はじめに「状況C」について考えます。分速1200mで、長さが120mの列車Aと分速800mで、長さが80mの列車Bがすれちがう様子を考えます。322ページの図を参考にしましょう。1番上の図がすれちがい始めで、左から右に向かう列車Aと右から左に向かう列車Bの先頭が重なる場面です。1番下の図がすれちがい終わりで、左から右に向かう列車Aと右から左に向かう列車Bの後尾が重なる場面です。
2つの列車がすれちがい始めてからすれちがい終わるまでに、先頭に注目すると、列車Aと列車Bが出会って(1番上の図)から、120+80=200m離れる(1番下の図)ことがわかります。したがって、列車Aと列車Bがすれちがっている時間は旅人算を使って200÷(1200+800)=0.1分=6秒となります。
次に「状況D」について考えます。「状況C」と同じように325ページを参考にして、図を描いて考えてみましょう。分速1200mで、長さが120mの列車Aが分速800mで、長さが80mの列車Bを追いこす様子を考えます。左から右に向かう列車Aの先頭が、左から右に向かう列車Bの最後尾に重なる場面が追いこし始めです。その後だんだんと追いこしていき、左から右に向かう列車Aの最後尾が、左か右に向かう列車Bの先頭と重なる場面が追いこし終わりです。
2つの列車の追いこし始めから追いこし終わりまでに、先頭に注目すると、列車Aの先頭と列車Bの最後尾が重なってから、列車Aの後尾と列車Bの先頭が重なるまで、120+80=200m離れることがわかります。したがって、列車Aが列車Bを追いこすのにかかる時間は、旅人算を使って200÷(1200-800)=0.5分=30秒となります。
「学び3」は時計の角度について学びます。
時計には「1」から「12」までの数字が書いてあります。これらの数字は360度を均等に分けています。したがって、「1」と「2」の間の角度は360÷12=30度となります。また、「1」と「2」の間は5等分されており、1つの間は30÷5=6度となります。次に時計の針について考えましょう。時計の針が3つある場合、1番早く動く針は秒針といいます。秒針を除いた2つの針のうち、長い方を長針、短い方を短針といいます。長針は1分で6度動きます。短針は1時間(60分)で30度動くため、1分では30÷60=0.5度動きます。
時計算ではこのように速さを角度で表していきます。長針は分速6度、短針は分速0.5度です。この速さは必ず覚えましょう。時計算の問題では、主に長針と短針の動きについて考えていきます。
「学び4」では長針と短針の重なる時刻について考えていきます。331ページの問4を使って説明します。課題Aを見てみましょう。13回で学んだ「周回の旅人算」です。うさぎとかめは90m離れています。この90mの差を分速6mのうさぎが分速0.5mのかめを追いかけていきます。うさぎがかめに追いつく時間を求めます。同じ向きに進むことから追いつくまでの時間は、90÷(6-0.5)=90÷(11/2)=180/11分となります。帯分数に直すと16と4/11分となります。
次に課題Bを見てみましょう。3時から4時の間で、長針と短針が重なる時刻を求めます。長針は分速6度、短針は分速0.5度です。時計算ではスタートする時刻が非常に重要です。この場合は3時です。3時の長針と短針のつくる角度は90度です。この90度の差を分速6度の長針が分速0.5度の短針を追いかけていきます。長針が短針に追いつく(重なる)時間を求めます。
課題Aと同じように考えると、追いつくまでの時間は、90÷(6-0.5)=90÷(11/2)=180/11分となります。帯分数に直すと16と4/11分となります。
ここであらためて長針と短針が重なる様子を想像してみましょう。3時から4時の間は1時間のため短針は時計の「3」のところから「4」のところまで動きます。したがって、「3」と「4」の間で重なります。つまり、短針と長針が重なる時刻は3時15分から20分の間となります。計算した値は16と4/11分となりましたから妥当な答えです。答えのだいたいの検討をつけるためにも、「何分ぐらいで重なるのか?」は事前に予想しましょう。時計算では長針と短針の速さの差が11/2分のため、計算を進めていくと割り切れないことが多くあります。したがって、必ず分数で計算するようにしましょう。
演習としては330ページから332ページは必修です。332ページの時計算では、はじめのスタート時間が重要です。例えば332ページの問5①では、3時5分の長針と短針のつくる角度を求めるため、3時からスタートします。3時の長針と短針のつくる角度は90度です。5分たつと短針と長針の差は(6-0.5)×5=27.5度縮みます。したがって、長針と短針が作る角度は90-27.5=62.5度となります。長針と短針のそれぞれの動きを考えても答えを出すことはできます。
335ページの問1、336ページの問2~問5は通過算の典型的な問題です。図を描いて取り組みましょう。余力のある場合は337ページの問8、338ページの問12にも取り組んでみましょう。
第14回のテーマは「文章題 平均の意味と役割」です。ここでは「平均の意味を理解すること」「平均の定義を覚え、使えるようになること」「平均を面積図で考えることができること」が目標になります。
この単元では平均の定義(公式)だけにとらわれず、「平均とはならすこと」ということをグラフや面積図で理解していくことを目指します。公式はもちろん、面積図が使えるようになると、いろいろな問題に対応することができるようになります。図のかき方や使い方を十分に練習しておきましょう。
「学び1」は平均の意味について学びます。平均とはいくつかの数や量をならして、同じ大きさにそろえたとき、その大きさを表した値です。「学び2」でも扱いますが、「平均=合計÷個数」と表すことができます。
228ページの「やってみよう!」で説明します。AチームとBチームのゴールを決めた回数の平均を求めてみましょう。Aチームの人数(個数)は6人でゴールを決めた合計は6+6+5+4+7+8=36回です。したがって、Aチームの平均は36÷6=6回となります。
また、Bチームの人数(個数)は5人でゴールを決めた合計は4+7+8+5+6=30回です。したがって、Bチームの平均は30÷5=6回となります。平均で比べてみると、AチームとBチームのどちらも同じくらい上手いということになります。
229ページのグラフでは、平均を視覚的に捉えることができます。平均を求めるためにグラフのでっぱりの部分を移動させてならして平らにしてみましょう。Aチーム、Bチームともに●が6個ずつの高さでそろいます。「学び1」は図やグラフで平均の意味が視覚的に捉えることができればよいでしょう。
「学び2」では平均を計算で求めてみます。平均の定義は「平均=合計÷個数」です。230ページの「やってみよう!」を見てみましょう。図を見ると合計90個のブロックが18列に積まれています。多くの列のブロックは5個ずつ積まれていますが、中には7個や4個のものもあります。ここでは全てのブロックの数が「合計」で、列の数が「個数」となります。したがって、平均(ブロックの高さの平均)は90÷18=5個となります。
次に231ページの「学んだことを使う」をやってみましょう。はじめに①の計算テストの平均点を出してみましょう。表を見ると人数の合計が32人とあるため「個数」は32です。次に合計を出してみましょう。
表の1番左の列から見ていきます。0(ゼロ)点が2人のため0点の人の合計点は0×2=0点です。次の列では、2点が3人のため2点の人の合計点は2×3=6点です。同じように考えていくと、4点の人の合計点は4×6=24点、6 点の人の合計点は6×9=54点、8 点の人の合計点は8×8=64点、10 点の人の合計点は10×4=40点となります。したがってすべての「合計」は0+6+24+54+64+40=188点となりますので、平均点は188÷32=5.875点となります。
次に「平均=合計÷個数」という式の逆算について考えてみましょう。具体的な数字をイメージするとわかりやすくなります。例えば「6(合計)÷3(個数)=2(平均)」とイメージしてみましょう。合計(6)=平均(2)×個数(3)となります。同様に個数(3)=合計(6)÷平均(2)となります。特に合計=平均×個数は重要なため覚えましょう。
「学び3」では平均の問題を面積図で解いていきます。232ページの「やってみよう!」を見てみましょう。仲良しの5人で平均点を求めます。5人の得点は、80点が3人、90点が2人です。はじめに方法1です。「平均=合計÷個数」を使います。合計は80+80+80+90+90=420点です。個数は5のため、5人の平均は420÷5=84点となります。
次に方法2です。方法2では棒グラフを使って求めます。5人の平均を仮に80点だとします。232ページの1番下の図に注目しましょう。5人の得点を80点にそろえると、90点の2人の分の得点が上にはみ出します。はみ出した分は90-80=10点です。10点が2人分のため、合わせて10×2=20点となります。
この20点を5人に均等にならしていきます。つまり、20÷5=4点ずつ5人に均等に分けていきます。したがって、5人の平均は80+4=84点となります(ステージⅢ・本科教室 答え4年 127ページの図を確認しておきましょう)。
このイメージを持って233ページの「やってみよう!」を見てみましょう。5人の平均を面積図で求めてみましょう。233ページの1番下の面積図に注目しましょう。同時に232ページの1番下の図も参考にしましょう。2つの図を比べると1人ひとりの境界線がなく、代わりに横の長さに人数が書かれています。縦の長さには点数が書かれています。
233ページの面積図には5人の平均の線がグレーの線で示されています。2つの図は同じ図と考えてよいでしょう。はじめに233ページの面積図に仮の平均の80点に線を引きましょう(232ページと同じように線を引きます)。5人の得点を80点にそろえると、90点の2人の分の得点が上にはみ出します。はみ出した分は90-80=10点です。10点が2人分のため、合わせて10×2=20点となります。
この20点を5人に均等にならしていきます。つまり、20÷5=4点ずつ5人に均等に分けていきます。したがって、5人の平均は80+4=84点となります(ステージⅢ・本科教室 答え4年 128ページの図を確認しておきましょう)。
演習としては235ページから236ページは必修です。236ページの問3の面積図は確実に理解しておきましょう。238ページの連続する整数の問題は入試でも出題される重要な内容です。239ページの問2、問3、240ページの問4、問5までは解きましょう。239ページ問3は面積図を使ってもよいでしょう。240ページ問4は真ん中の数や規則性に注目して解きましょう。
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