No.1598 サピックス6年5月度マンスリーテスト傾向と対策ベスト5

 今回のマンスリーテストは、「立体図形」での切断、水位変化や色づけの問題、「2量の関係」でのタクシー料金タイプの問題、「小数・分数」での既約分数の和といった、パターン化された解き方を確実に覚えられているかどうかで得点差が大きくついてしまう問題が多く範囲に含まれます。

 こうした問題で、闇雲にパターンを暗記するだけでは、問題の難度が少し上がるだけで対応できなくなってしまいますが、解法の成り立ちをしっかり覚え込んでおけば、得点源にできる問題を一気に増やすことができます。

 そこで解法の成り立ちに注目して、6年5月度マンスリーテストの対策ポイントを第1位から第5位までランキングにしましたので、ぜひマスターしてテストに臨んでださい!応援しています!

 さらにこちらの「50分で偏差値を5上げる算数予想問題」と組み合わせれば、マンスリーテスト対策は鬼に金棒です。ぜひクラスアップを実現してください。応援しています!

【第1位 立体図形:表面に色をぬる問題は、立体の位置でぬられた面の数の把握を!】

 立体図形の中で、今回のマンスリーテストで「立体の切断」と合わせて注意しておきたいのが、「立体の表面に色をぬる問題」です。特に、小さな立方体を積み重ねて、大きな立方体や直方体にしたかたちに色をぬるタイプの問題では、解法を確実に身につけておくかどうかで、テスト全体の点数に大きく影響が及びます。

 そもそも立体図形の問題の難しさは、視覚的なイメージがしづらい点にあります。立体の切断では、切断面と立体がどのように交わるか、色をぬる問題であれば、どの面に色がつき、どの面につかないのか、といったところのイメージの難しさが、問題の難度を上げています。

 それでも、切断の問題であれば、「向かい合う面に入る切断線が平行になる」という大前提にしたがって、そこから相似を利用して解く、という鉄則のパターンをしっかり身につけておけば、正解への道筋が一気に見えやすくなります。

 その点では色をぬるタイプの問題は、切断での平行線のようなパターンが使えませんので、問題を多く解いて、出題内容に合わせた解法をひとつひとつ身につけておく必要があります。

 例えば、下の図のように、「1辺の長さが5cmの立方体のすべての表面を赤くぬり、その後、この立方体を1辺1cmの立方体125個に切り分けました。こうしてできた1辺1cmの立方体のうち、2つの面が赤くぬられているものは全部で何個ありますか」といった問題は、どのように考えればよいでしょうか。

 このように、大きな立体に色をぬった後に、小さな立方体のいくつの面に色がぬられているかが問題対象となった際に、大きな立体の角(カド)に位置する立方体には「3つの面」がぬられることはイメージがしやすいでしょう。また、どの面にも色がぬられない立方体も、大きな立体の表面に一切出ていない、「かくれた部分」に位置するとスムーズに把握できます。

 ポイントになるのは、「1つの面」そして「2つの面」に色がぬられた小さな立方体がどこに位置するかを確実につかんでおくことにあります。特に「2つの面」が大きな立体の「辺の部分」に位置することを利用して、その個数を求めさせる問題が出されることがあります。

 下の図であれば、2つの面がぬられた立方体の位置は、1つの辺の角の部分以外(下の図の赤の部分)にあたり、1つの辺につき、5-2=3(個)あり、立方体の辺の数が12個であることから、3×12=36(個)となります。

 色をぬるタイプの問題では、その他に、立体を段ごとに分けて、各段に含まれる立方体が何面ぬられるかを考えるといった解き方もあります。どの解き方もしっかり練習して身につければ、強力な武器として使うことができますので、パターン化された解法を覚え込む意識を持って、練習を重ねましょう。

【第2位 立体図形:水位の変化は比のかけ算を使って攻略しましょう!】

 立体図形の「水位の変化」の問題では、比を正しく使うことで解答時間を短縮でき、正答率を圧倒的に高くすることができます。注意しておきたいのが、「比のかけ算」の利用です。

 例えば、「下の図のような、同じ高さの円柱をした容器A、Bがあります。底面の直径は、Aが12cm、Bが16cmです。Aに水面の高さが20cmになるように水を入れた後、AからBに水を移して、AとBの水面の高さの差が5cmになるようにしたとき、Bの高さは何cmになりますか」と言った問題。

 ここで注意すべきは、実際の水の体積を求めないことです。容器Aの底面の直径が12cmで高さ20cmまで水が入っているので、水の体積が、6×6×3.14×20で求められ、そこから差の5cm分の水の量を引いて同じ高さにするという考え方も間違ってはいませんが、計算が複雑でミスが起こりがちです。

 そこで「比」を使って解き進めます。底面の直径の長さの比が、12:16=3:4であることから、底面積の比が3×3:4×4=9:16になるので、容器Aの底面積をマル9として、Aの容器の水の体積を、マル9×20=マル180と表します。そこで右の図のように、Aの水面がBより5cm高いことから、差の分のマル9×5=マル45を求め、マル180-マル45=マル135について、AとBの底面積の和である、マル9+マル15=マル25で割ることで、マル135÷マル25=5.4cmとして水面の高さを求めることができるのです。

 問題で、底面の直径から高さまで数値が与えられていると、つい計算で解いてしまいたくなりますが、3.14計算をまとめるといった工夫をしても、時間がかかり、計算ミスが起こりがちという状況に変わりはありません。比の計算を使うことで、数値を小さくおさえ、式の数も少なくすることができます。比を使う解き方をテストまでに確認しておきましょう。

【第3位 くるった時計:どの時刻を比較するか、速く正確に決められていますか?】

 「2量の関係」の中の「くるった時計」は、問題に慣れないうちは内容が複雑に見えますが、パターン化された解法をしっかりおさえられていれば、正解に行き着くまでに大きな負担はかからず、確実な得点源にすることができます。ただし、問題に出てくる時刻が複数あり、どの時刻を比較するかを間違えてしまうと、正答できる可能性が大きく下がってしまいます。

 例えば、「ある時計は一定の割合で遅れます。この時計は、ある日の午前8時に8時15分を、同じ日の午前10時に10時10分をさしていました。この時計は、この日の午後何時何分に正しい時刻をさしますか」という問題。

 このようなケースでは正しい時間の経過と、遅れる時計の時間の経過を比で表して解き進めて行くと、負担が軽減されます。まずは、正しい時刻の午前8時と、午前10時での2つの時計がさした時刻を比較します。下のように時間の経過をたてに並べて比べるとわかりやすいでしょう。そこで、正しい時計の、「午前8時から午前10時までの2時間」で、くるった時計が進んだ時間が「午前8時15分から午前10時10分までの1時間55分」となります。

 ここで、正しい時計とくるった時計が同じ時間内で進む時間の比が、120:115=24:23となることから、下の図のように、くるった時計が正しい時刻をさすまでの時間の差である10分が、24と23の比の差1になるため、求める時刻を、10時+10分×24=14時=午後2時0分と求められます。

 この「くるった時計」の問題では、遅れる、進むといった言葉で表される状況の意味、時間の経過によってどのような変化が起こるのかを的確にイメージする必要があります。そのうえで、上のような図を利用することが有効になります。比較する時刻を定める→2つの時計の進む速さの比を求める→図で整理する、の流れで解き進めるパターンをしっかり練習して習得しましょう。

【第4位 タクシー料金タイプの問題:加算の回数を正しく計算できていますか?】

 「2量の関係」の中では、問題内容に応じて様々なグラフを扱いますが、その中でもグラフが階段のような形になる、タクシー料金タイプの問題は、今回のマンスリーテストで出題される可能性が高くあります。パターン化された解き方を実践できれば、得点源にできる問題ですが、解法の理解が曖昧なままでは細かな数値を間違えてしまう危険性が高くなります。最後の詰めまで解法の覚え込みが甘くならないように注意しましょう。

 例えば「ある市のタクシーの料金は、乗ってから1000mまでは420円で、1000mを超えると80円加算され、以後250mを超えるごとに80円加算されます。例えば、1500m利用したときにかかる料金は580円です。支払ったタクシー料金が1780円のとき、このタクシーを利用した距離の範囲は何mをこえて    何mまでと考えられますか」といった問題。

 タクシーの移動距離とタクシー料金の関係を表したグラフで、解き方を整理してみましょう。このタイプのグラフの他との大きな違いは、白丸と黒丸でグラフが寸断されることです。これは料金の数値のパターンが決まっていること、そして料金が常に整数となるため、例えばロウソクの長さと時間のような1本の直線で表されるグラフで見られる「連続性」がないことによります。

 グラフの成り立ちを整理する際のポイントは何といっても、「何回加算されるか」という点です。最低料金の420円から問題の対象となる1780円までに、80円の加算が何回あるかを計算しますが、ここでは単純に1780円と420円の差額を80円で割ればよく、植木算のような「間隔」を考慮する必要はありません。

 (1780-420)÷80=17(回)より、17回の加算となります。ここでポイントとなるのが、この加算回数を使って求められるのが「最も高い料金」であることです。グラフが同じ金額で文字数に幅が出るタイプですので、その幅のどの部分を出すかで迷ってしまいがちですが、計算で求めた加算数をそのまま使えば、最も大きな値(グラフの黒丸)になります。そして、最後に250mを「引き算」をすることで、白丸部分の文字数が求められます。

 もう1点注意したいのが、実際にグラフで示されている数値を使って、解法の確認をすることです。このタイプの問題の多くが、移動距離と料金の関係を例として示しています。この問題であれば、2つめの文章の「例えば、1500m利用したときにかかる料金は580円です。」というところです。この例を実際に使って、加算回数の求め方を確かめてから、解答を進めるよう必要があります。

 解法を覚え込めていれば確実に得点源にできる問題ですので、くり返し解法を確認して、テストの際に迷わず解き進められるように、しっかり整理しておきましょう。

【第5位 小数・分数:既約分数の和で「対称性」を正しく利用できていますか?】

 「小数・分数」の中で、「既約分数の和」を求める問題では、「両端の分数から2つずつ組にする」という解法を使いこなせるかどうかで、解答スピード、正答率ともに大きく差をつけられます。

 ただ、闇雲に解法を暗記するだけで、なぜこの解法が成り立つのか、その理由をしっかりつかんでおかないでいると、問題の難度が上がった際にスムーズに対応できなくなってしまいます。ここでは、以下の問題を例として、解法の成り立ちを確認しておきましょう。

 「4より大きく7より小さい、分母が36の分数について、約分できない分数の和はいくつになりますか」といった問題です。

 まず、0から1までに分母が36の既約分数がいくつあるかについては、スムーズに正解に行き着きたいところです。36を素因数分解すると、2×2×3×3となるので、「分子が2の倍数でも3の倍数でもない場合」が既約分数になります。

 ここからは集合の考え方で、2の倍数が36÷2=18(個)、3の倍数が36÷3=12(個)、2と3の公倍数が、36÷6=6(個)となり、2または3の倍数が、18+12-6=24(個)のため、0から1の間の既約分数の個数は、36-24=12(個)となります。

 ここで、「両端の分数から2つずつ組にする」という解法が使える理由について、探って行きます。なお、このメルマガでは、帯分数を「3・1/36」というかたちで表記します。

 1/36から35/36の既約分数について考えた場合、A/36が既約分数であれば、分子のAは36の約数ではなくなります。よって、(36-A)/36の分子(36-A)もまた36の約数ではなくなります。Aに1を入れれば、1/36と35/36はどちらも既約分数に、Aに5を入れれば5/36と31/36はどちらも既約分数になるのです。

 こうして、「両端の分数から2つずつ組にする」という考え方が成り立ち、帯分数の分数部分に着目すれば「両端の分数から2つずつ組にする」の考え方を使うことができるのです。後は、既約分数が全部で、12×3=36(個)あるので、(4・1/36+6・35/36)×36÷2=198、と解き進めることができます。

 マンスリーテストで解法の説明をさせる問題が出されることは想定できませんが、解法の成り立ちを理解できているかどうかで、解答の確実さに大きな差が生まれます。この単元に限らず、機械的に覚えてしまいがちな解法については、その成り立ちをしっかり確認しておきましょう。

 われわれ中学受験鉄人会のプロ家庭教師は、常に100%合格を胸に日々研鑽しております。ぜひ、大切なお子さんの合格の為にプロ家庭教師をご指名ください。

メールマガジン登録は無料です!

頑張っている中学受験生のみなさんが、志望中学に合格することだけを考えて、一通一通、魂を込めて書いています。ぜひご登録ください!メールアドレスの入力のみで無料でご登録頂けます!

ぜひクラスアップを実現してください。応援しています!

ページのトップへ