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2020中学入試で確実に出るであろう「海洋プラスチックごみ問題」。PETを○○してしまう細菌が救世主に!など、今回もあぶない時事を詰め込みました。
ポリエチレンテレフタラート(PET)
画像引用元:ウィキペディア
6月15日に開幕した主要20か国・地域(G20)の エネルギー環境閣僚会合で“海洋プラスチックごみの新たな汚染を2050年までにゼロ”とする「大阪ブルーオーシャン・ビジョン」が合意されました。世界的な取り組みが求められている中、2005年に堺市内で見つかった細菌が世界の注目を集めています。
京都工芸繊維大の小田耕平名誉教授らが堺市内のペットボトルの処理工場で見つけ、「イデオネラ・サカイエンシス」と学名がついた細菌は、その後、奈良先端科学技術大学院大の吉田昭介特任准教授らの研究で、特殊な2種類の酵素を出して、ペットボトルとして利用されているPET(ポリエチレンテレフタラート)を分解し、栄養源としていることが分かりました。厚さ0.2mmのPETを、約1カ月で二酸化炭素と水にまで分解するのだそうです。
PETは分解されないという定説を覆す成果が2016年に論文発表されると、分解メカニズムの解明のために、二つの酵素の研究に各国がこぞって取り組み始めました。
2017年に中国科学院が片方の酵素の解明を、2018年には構造をより詳細に調べた韓国やチリの研究チームなどが次々と論文を発表し、今年になって、ドイツのチームがもう一つの酵素の立体構造の解析に成功するなど、研究競争は過熱しています。
プラスチック問題が解決される日が1日でも早く来てほしいですね。
6月12日のNHKの報道によりますと、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所の岩崎慎介研究員は、北日本と東日本、それに西日本の主要都市から、合わせておよそ6300トンのプラスチックごみが海に流れ出したと想定し、シミュレーションしました。その結果、海流や風などの影響で、多くのごみが太平洋を帯状に漂ったあと、アメリカの西海岸やカナダ、アラスカに漂着することがわかりました。また一部は、フィリピンなど東南アジアにまで漂着するほか、日本の沿岸部にもとどまり、広範囲に影響を及ぼすことが明らかになりました。東南アジアから漂着するプラスチックごみも問題ですが、私達日本から出たごみが遠くの国にも迷惑をかけているという認識を一人一人が持たなければなりませんね。
ニホンウナギ 画像引用元:ウィキペディア
水産庁等は6月21日、研究室で生まれ民間の養殖池で育った完全養殖のニホンウナギの「うな重」を関係者にふるまい、長年取り組んできたウナギの養殖技術の研究成果を発表しました。
研究施設内での完全養殖は2010年に国立の水産研究・教育機構が世界で初めて成功していたのですが、今回の成果は、人工で育てたシラスウナギを民間の養殖業者に委託し、成魚にするサイクルに初めて成功したことです。これで安定したウナギの生産につながることが期待されています。
かば焼きになったニホンウナギのルーツをたどると、親は国立研究開発法人「水産研究・教育機構」の水槽生まれ。鹿児島県志布志市の研究拠点で成魚に育ち、メスとオスを入れた水槽で刺激を与えられて受精卵を産みました。人工的に孵化(ふか)した子供は静岡県南伊豆町の拠点でシラスウナギに育てられ、その内の約300匹が、鹿児島県の養殖業者「鹿児島鰻(うなぎ)」と「山田水産」に預けられ成魚となったウナギでした。
完全養殖とは、親魚が産卵した卵から稚魚、成魚へと成長させ、産卵させる一連の生命サイクルのすべてを養殖施設内で完結させる養殖方法のことなのです。
完全養殖で有名なのは、近畿大学水産研究所が32年の歳月をかけ、2002年6月に成功した近大マグロとも呼ばれる「クロマグロ」ですね。約3年で全長1m、体重30kg以上の成魚となってから出荷されるようになるのだそうです。
その他、マダイ、ヒラメ、ブリやマサバなど約30種も市場に出ていて、世界三大珍味とされている「キャビア」を採るためのチョウザメも完全養殖ができています。甲殻類ではクルマエビの他約16種、貝類では約32種が養殖され、さらにマダコは2020年以降に出荷できるように研究中だそうです。
完全養殖の最大のメリットは、卵や稚魚等を捕獲する必要が無く、天然資源に頼らなくてすみ、環境に優しい技術なのです。さらに、卵の段階からふ化、稚魚、成魚、産卵まで全ての成育段階を人工環境下で管理するので、計画的に生産・出荷ができ、安定した市場供給が行えるようになります。
安心・安全の面からは、人工飼育環境が明確になり、どの様な環境でどんな餌を食べて育ったか等の生産履歴を全て把握することが可能となって、後から調べ直すことができます。
さらに、国内の施設で完全養殖が行われると、結果的に海外からの食料輸入に頼る割合を減らすことができ、日本の食料自給率向上にもつながることも考えられます。また、養殖技術を輸出することで安心・安全な海産物を世界から季節に依らずに輸入することも可能となるでしょう。
ウナギがどの様な環境で産卵するのかがわからず、1960年代からウナギに卵を産ませる研究が始まりました。1973年北海道大学で人工ふ化に成功したものの20年以上ウナギの幼生の食べる物が判らず、2002年になってサメの卵を食べることが分かり、シラスウナギの育成にたどり着きました。しかし養殖環境では餌を食べなかったり、成長してもほとんどオスになってしまうなど問題点がありました。
現在、生産できる人工シラスウナギは年間数千匹程度だそうで、国内の養殖に必要といわれる1億匹との開きは大きいので、完全養殖ウナギのかば焼が皆さんのお口に入るのはもうしばらくかかりそうです。
京都大学シバニア・イーサン教授、伊藤真陽特定助教らは6月20日、アクリル樹脂やポリエチレン袋の様な高分子材料などに規則的に亀裂を入れることで発色させる、インクを使わない新たな印刷技術を開発したと発表しました。
クジャクや蝶の羽やコガネムシの体の表面に見られる光沢を持った独特な色は、層状に積み重なった微細な構造のものに光が反射することで生まれ、「構造色」と呼ばれています。
研究グループでは、ポリエチレン袋などに使われる化合物に光を当てて微少で規則性のある亀裂(きれつ)を生じさせたあと酢酸などに浸すことで、特定の色の光を反射する人工的な構造色を作り出すことに成功しました。発色する色は亀裂の規則性で決まり、亀裂の数が多いほどより鮮やかに見えるのだそうです。光の種類や当て方を変えて調整すると、全ての可視光を発色させることができ、一般的な商業用印刷の40倍の解像度で印刷したり、極めて薄いフィルムなどの素材に印刷できるのだそうです。
インクを使わないので退色のおそれがなく、また、製作時間も短く、特別な材料や設備を必要としないため、安価で大規模な高精密印刷が可能になるということです。さらに亀裂自体が模倣されにくく、紙幣や身分証明書の偽造防止印刷などにも活用でき、インクの代替としてもさまざまな用途への応用が期待されています。
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