No.1659 2026年度入試で出題される確率が高い物語のベストテンを発表します!

 来年2026年度中学入試の国語・物語文で出題確率が高い作品を、ベストテン形式で選びました。作品ごとにどの層の中学で出そうかを書いておきました。具体的にどの学校で出題されそうかも予想しています。昨年度の予想では、予想した10作品中の8作品が入試で出題され、学習院女子(A入試)、学習院中等科(第2回)では学校まで的中しました。今年も出題確率が高い物語文が目白押しです!

 入試では、既知の作品が出ると非常に有利です。6年生のお子様方は作品を読む時間がないかと思いますので、各作品をご紹介したメルマガのリンクをそれぞれ貼っておきますので、あらすじ、中学受験的テーマ、予想問題を確認して、解答のポイントをつかんでください。5年生以下の皆さんにはぜひご紹介した本を手に取って読んで頂きたいです。

【ベストテン】

第1位:『ぼくたちの卒業写真』天川栄人(文研出版) 
【中堅校から最難関校。特に海城中、駒場東邦中、学習院女子は要注意】

第2位:『星の教室』高田郁(角川春樹事務所) 
【中堅校から最難関校。特に広尾学園中、立教女学院中、香蘭女学校中は要注意】

第3位:『オリオンは静かに詠う』村崎なぎこ(小学館) 
【上位校から最難関校。特に栄光学園中、浦和明の星中、明大八王子中は要注意】

第4位:『翠雨の人』伊与原新(新潮社) 
【上位校から最難関校。特に桜蔭中、豊島岡女子中、洗足学園中は要注意】

第5位:『呼人は旅をする』長谷川まりる(偕成社) 
【中堅校から最難関校。特にサレジオ学院中、大妻中、江戸川取手中は要注意】

第6位:『17歳のサリーダ』実石沙枝子(講談社) 
【上位校から最難関校。特に浦和明の星中、城北中、山脇学園中は要注意】

第7位:『ありか』瀬尾まいこ(水鈴社) 
【上位校から最難関校。特に慶應義塾湘南藤沢、田園調布学園中、山脇学園中は要注意】

第8位:『天才望遠鏡』額賀澪(文藝春秋) 
【上位校から最難関校。特に浦和明の星中、立教池袋中、城北中は要注意】

第9位:『あんずとぞんび』坂城良樹(ポプラ社) 
【上位校から最難関校。特に市川中、早稲田実業、高輪中は要注意】

第10位:『わたしのbe 書くたび、生まれる』佐藤いつ子(KADOKAWA) 
【中堅校から難関校。特に芝中、学習院女子、田園調布学園中は要注意】

【第1位】

『ぼくたちの卒業写真』天川栄人(文研出版)

amazon『ぼくたちの卒業写真』天川栄人(文研出版) 

 中学受験頻出作家・天川栄人氏による本作品を今年度の第1位としました。プロ級のカメラの腕前を持ちながら他者との関わりを避けてきた中学3年生男子が、学校の生徒たちの卒業写真を撮ることで心を成長させて行く姿を描いた物語です。主人公が他者を理解することの難しさに直面しながら、自らの弱さ、至らなさに立ち返り、新たな一歩を踏み出して行く過程を通して、「他者理解を通じて自己理解を深める」という最頻出パターンが鮮やかに具現化された傑作です。来年度入試では、男子校・女子校問わず、中堅校から難関校まで幅広く多くの学校での出題が予想されますが、他者理解に苦しむ主人公が徐々に心の成長を遂げて行く過程がじっくりと描かれている点で、海城中、駒場東邦中、学習院女子は特に要注意です。

☆2025年7月19日配信メルマガ
今年度物語文の大本命登場!『ぼくたちの卒業写真』天川栄人 予想問題付き!

【第2位】

『星の教室』高田郁(角川春樹事務所)

amazon『星の教室』高田郁(角川春樹事務所) 

 大阪の夜間中学を舞台に、心に深い傷を負った主人公が自らの進むべき道を見出して行く本作品もまた、今年度を代表する稀有の傑作です。戦争や貧困、病気など様々な理由で学校に行くことができなかった、年齢層、国籍もばらばらな人々との心の交流を通して主人公が成長を遂げる過程には、「他者理解を通して自己理解を深める」という最重要テーマが色濃く反映されています。その他にも「家族関係」、「挫折からの再生」、「戦争がもたらす災禍とは」といった重要テーマを含む本作品は、男子校・女子校、偏差値層を問わず、幅広く、多くの中学校で出典となることが予想されますが、特に、戦争によって過酷な人生を強いられた人物を描いている点で、広尾学園中、立教女学院中、香蘭女学校中は要注意です。

☆2025年6月20日配信メルマガ
夜間中学を舞台とした今年度を代表する成長物語!『星の教室』高田郁 予想問題付き!

【第3位】

『オリオンは静かに詠う』村崎なぎこ(小学館)

amazon『オリオンは静かに詠う』村崎なぎこ(小学館) 

 第3位に選出した本作品では、生まれながらに聴覚障害を持つ女子高生が競技かるたと出会い、心の成長を果たして行く姿を軸に主人公と関わる3人の人物それぞれが葛藤しながら、深い挫折から再生して行く姿が描かれています。4人の人物たちが苦難の中にあって自らの進む道を模索して行く過程には、重要テーマ「自己理解」の中でも特に心情の変化が多く表される「挫折からの再生」、「苦境に向き合う」という重要テーマが描き込まれています。男子校、女子校を問わず、上位校から最難関校を中心に、多くの学校で出題される可能性が高くありますが、特に、苦境、挫折に向き合い再生する人物の姿を出題対象とする傾向のある、栄光学園中、浦和明の星中、明大八王子中は要注意です。

☆2025年5月23日配信メルマガ
競技かるたに魅了された人物たちの再生の物語!『オリオンは静かに詠う』村崎なぎこ 予想問題付き!

【第4位】

『翠雨の人』伊与原新(新潮社)

amazon『翠雨の人』伊与原新(新潮社) 

 アメリカが1946年から1958年にかけてビキニ環礁で行った水爆実験による放射能汚染測定に携わり、核実験抑止のために国際的に活躍した実在の女性科学者・猿橋勝子の生涯を描いた、圧倒的な求心力を持つ傑作です。女性科学者への差別や逆風が吹く時代に、科学の可能性を信じ、未来の世代のために一心に研究を進める主人公の生き様は、多くの中学校の先生方が入試で出題したいと考えていること間違いありません。上位校から最難関校の女子校を中心に多くの学校で出題されることが予想されますが、特に、逆境の中でも信念を持って進むべき道を切り開く女性の姿を描いている点で、桜蔭中、豊島岡女子中、洗足学園中は要注意です

☆2025年11月1日配信メルマガ
科学者・猿橋勝子の生涯を通して、信じる道を切り開く人間の尊さを伝える傑作!『翠雨の人』伊与原新 予想問題付き!

【第5位】

『呼人は旅をする』長谷川まりる(偕成社)

amazon『呼人は旅をする』長谷川まりる(偕成社) 

 動物や虫、植物、自然現象など特定のものを呼び寄せてしまう体質を持った「呼人(よびと)」と、その周辺の人々を主人公とした6つの短編で構成される、煌めくような名作です。SF的な設定でありながら、どの短編も「わかり合うことの難しさ」が丁寧につづられており、最重要テーマ「他者理解を通じて自己理解を深める」のパターンがしっかりと描き込まれています。その中でも、第1章『スケッチブックと雨女』は、他者理解の難しさに苦しみながら友人関係を再構築させて行く小学6年生女子の心情の移ろいが鮮やかに描かれており、男子校、女子校を問わず、中堅校から最難関校まで幅広い学校での出題が予想されます。特に、他者理解の難しさに直面する人物の姿を丁寧に描き込んだ作品を出題する傾向の強い、サレジオ学院中、大妻中、江戸川取手中は要注意です。

☆2025年4月23日配信メルマガ
「わかり合うことの難しさ」に直面する人々の姿を通して、最重要テーマ「他者理解」の学習を深められる傑作短編集!『呼人は旅をする』長谷川まりる 予想問題付き!

【第6位】

『17歳のサリーダ』実石沙枝子(講談社)

amazon『17歳のサリーダ』実石沙枝子(講談社) 

 いじめがきっかけで学校をやめた女子高校生が、ふとしたきっかけで出会ったフラメンコの世界に魅了され、フラメンコに携わる人々との心の交流を経て自分の進むべき道をつかみ取る姿が描かれた成長物語です。主人公がフラメンコとの出会いを通して、つらい過去に向き合い、その呪縛から心を解放させて行く過程には重要テーマ「挫折からの再生」が丁寧に描き込まれています。苦しみの中から未来をつかみとる主人公の姿が躍動感あふれる表現でつづられた本作品は、男子校・女子校に関わらず、上位校から最難関校まで幅広い学校での出題が予想されますが、特に挫折からの再生を通して自己理解を深める人物の姿を描いた作品を出題する傾向の強い、浦和明の星中、城北中、山脇学園中は要注意です。

☆2025年3月8日配信メルマガ
フラメンコと出会い自分の可能性を開花させる女子高校生の成長物語!『17歳のサリーダ』実石沙枝子 予想問題付き!

【第7位】

『ありか』瀬尾まいこ(水鈴社)

amazon『ありか』瀬尾まいこ(水鈴社) 

 中学受験最重要作家のひとり、瀬尾まいこ氏が、5歳の娘と二人暮らしを送る主人公が子育ての難しさに直面し、母親からの圧力に縛られながら、周りの人々に支えられて自分を見つめ直して行く姿を描いた美しく尊い物語です。主人公と娘の家族の物語でありながら、母であり、また娘でもある主人公の成長物語でもあります。母親として成長する人物の心情を描いた作品はこれまでも開成中、早稲田実業、城北中といった上位校、最難関校で出題されており、本作品も女子校・共学校の上位校から最難関校を中心とした出題が予想されます。特に、家族関係に悩む人物の姿を描いている点で、慶應義塾湘南藤沢、田園調布学園中、山脇学園中は要注意です。

☆2025年6月27日配信メルマガ
中学受験最重要作家が母と娘の物語を通して描く家族の物語!『ありか』瀬尾まいこ 予想問題付き!

【第8位】

『天才望遠鏡』額賀澪(文藝春秋)

amazon『天才望遠鏡』額賀澪(文藝春秋) 

 『屋上のウインドノーツ』をはじめ、これまで多くの作品が中学受験の出典となってきた額賀澪氏が、天才たちとの出会いをきっかけに、自分の生き方に向かい合う人々の心の移ろいを描いた連作短編集です。その中でも、ケガで目標をなくした高校生男子が他者からの働きかけと馬との出会いを通して再生への一歩を踏み出す姿を描いた第4章『カケルの蹄音』は、重要テーマ「挫折からの再生」が、人物たちの切実な心情が読み手の奥底に響くような表現の数々でつづられており、来年度入試で男子校・女子校を問わず上位校から最難関校まで多くの学校から注目を集めること必至です。特に他者理解を通して挫折から再生する人物の姿を描いている点で、浦和明の星中、立教池袋中、城北中は要注意です。

☆2025年9月6日配信メルマガ
天才を見つめる者たちの再生の物語『天才望遠鏡』額賀澪 予想問題付き!

【第9位】

『あんずとぞんび』坂城良樹(ポプラ社)

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 未知のウィルスに感染してゾンビになってしまった「おじさん」と小学3年生の少女「あんず」の心の交流といった設定こそ特異ではありますが、中学受験最重要テーマの「他者理解」をメインテーマとした傑作です。他者理解の難しさに直面しながらも成長して行くあんずの姿、共に「孤独」と向き合うあんずとおじさんの関係の深化を軸に、様々なかたちの「他者理解」が描かれ、さらには「差別やいじめ」といった社会的テーマや「言葉の力」といった重要テーマが盛り込まれた本作品は上位から最難関の男子校・共学校を中心に多くの学校で出題されることが予想されます。特異な設定の物語を通して重要テーマを描いている点で、市川中、早稲田実業、高輪中は特に要注意です。

☆2025年8月23日配信メルマガ
少女とゾンビのおじさんの心の交流を描いた傑作!『あんずとぞんび』坂城良樹 予想問題付き!

【第10位】

『わたしのbe 書くたび、生まれる』佐藤いつ子(KADOKAWA)

amazon『わたしのbe 書くたび、生まれる』佐藤いつ子(KADOKAWA) 

 2025年度入試で著書『透明なルール』早稲田実業、立教女学院中など、20校もの学校で出題され、大きな話題となった佐藤いつ子氏による成長物語です。自分の容姿に自信を持てず、部活動にも熱が入らなかった女子高校生が美に対する価値観を変容させて行く過程を通して「他者理解を通して自己理解を深める」という最頻出パターンがじっくりと描き込まれています。9月26日発刊という遅めの発刊時期であることから第10位としましたが、それでも男子校・女子校に関わらず中堅校から上位難関校まで幅広い学校での出題が予想されます。特に、新たな価値観を見出して行く人物の姿を描いている点で、芝中、学習院女子、田園調布学園中は要注意です。

☆2025年10月4日配信メルマガ
傑作!真の「美」を探し求め、心の成長を遂げる女子高校生の物語 『わたしのbe 書くたび、生まれる』佐藤いつ子 予想問題付き!

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