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第15回は『立体図形(2)』です。立体の構成や切断などを学習します。
取り上げた問題は、すべて難易度が高めですが、学習する機会を有効に、それぞれの内容をしっかり理解しましょう。
立体の構成を考えます。
[必修例題1]
合同な20個の正三角形で囲まれた立体の頂点や辺の数を考えます。問題に与えられた図を参照してください。
(1)◎この立体の頂点の数を求めます。
図から、どの頂点も正三角形が5つ集まっていることがわかります。
頂点が3個の正三角形が20個ですので、頂点の個数の合計は、3×20=60個ですが、この頂点が5つ集まって、この立体の1つの頂点になっ ています。
よって、60÷5=12 より、この立体の頂点の個数は、12個です。
◎この立体の辺の数を求めます。
図から、2つの正三角形が接していて、この立体の辺になっています。辺が3本の正三角形が20個ですので、辺の本数の合計は、3×20 =60本です。
よって、60÷2=30 より、この立体の辺の本数は、30本です。
(2) この立体のすべての頂点を平面で切り取った立体を作ります。
◎できた立体の頂点の数を求めます。
もとの立体の1つの頂点を切り取ることによって、五角形ができますので、頂点が5つになります。結果として、もとの12個の頂点の場 所に5個ずつ頂点ができます。
よって、5×12=60 より、新しい立体の頂点の個数は、60個です。
◎できた立体の辺の数を求めます。
もとの立体の辺は、そのまま残ります。もとの立体の頂点のところに、新たに五角形の5本の辺が増えます。
よって、30+5×12=90 より、新しい立体の辺の本数は、90本です。
なお、立体図形においては、「頂点の数+面の数-辺の数=2」となることが知られています。
立体を分割して、体積公式が使える形を作る問題です。
[必修例題2]
立方体の4つの辺の中点A、B、C、Dを結んだ作った立体の体積を求めます。
問題の図および、解き方の図を参照してください。
この状態では、体積を求めることはできません。そこで、この立体を分割して、体積公式の使える立体に分けます。底面と高さが垂直になっている立体を作ります。
辺AB上に中点Mをとり、この点と辺CDとで三角形MCDを考えます。この三角形MCDを底面とすると、AMは垂直になっていることから高さとして、立体A-MCDは三角すいとなるので、体積を求めることができます。残りの半分である立体B-MCDも同様です。
底面の三角形MCDの面積は、6×6÷2=18平方cmで、高さAM=3cmです。よって、三角すいA-MCDの体積は、18×3÷3=18立方cmと求まります。三角すいB-MCDも同じ体積です。
よって、18×2=36 より、この立体の体積は、36立方cmです。
[必修例題3]
切断した立体の体積を求める問題です。
(1) 円柱を切断した立体です。
問題の立体を、同じ立体を上下逆さにして切断面をピッタリ重ねると円柱にもどります。できた円柱の高さは、3+5=8cmとなりますので、このときの体積の半分がもとの立体の体積です。
よって、3×3×3.14×8÷2=36×3.14=113.04 より、この立体の体積は、113.04立方cmです。
(2) 直方体を切断した立体です。たて4cm、横6cmの長方形の面を底面として、(1)と同様に、同じ立体を切断面をピッタリ重ねると直方体にもどります。この直方体の高さになる部分の長さは、3+4=7cmです。
よって、4×6×7÷2=84 より、この立体の体積は、84立方cmです。
ちなみに、この考え方は、水を入れた水そうを傾けたときの水の体積を考えるときにも使えます。
(3) 三角柱を切断した立体です。
この立体は、同じ立体をどのように重ねても三角柱にはなりません。そこで、体積の等積移動を考えます。予習シリーズの解き方にある説明を参照してください。結果としては、三角形を底面として3つの辺をそれぞれ高さとする「三角すいの和」になります。
よって、底面=4×4÷2=8平方cmですから、
8×3÷3+8×4÷3+8×5÷3=8×(3+4+5)÷3=32 より、この立体の体積は、32立方cmです。
これらの問題で注目する点があります。それは、体積を求める式において、底面積にかけている部分です。この部分は、どれも高さの平均になっていることに注意してください。
第16回は『速さ(2)』です。速さの3公式、往復の平均速度、ダイヤグラム、その他の速さの問題を学習します。メルマガでは、分数は、分子/分母の形で、また帯分数は、(整数と分子/分母)の形で表します。
速度問題は、中学入試において、出題される頻度が極めて高い分野です。また、応用の問題を今後も多く学習しますので、基礎をきちんと身に付けましょう。
[必修例題1]
速度の3公式を使う問題です。
速度の問題では単位換算が重要になります。時速○kmならば、時間の単位は時間を、距離(=道のり)の単位はkmを使います。分速○mならば、時間の単位は分を、距離の単位はmを使います。基本的には、問われている単位にそろえて計算をします。
また、単位換算では分数計算が多く行われます。正確な分数表記ができるように気をつけましょう。
(1) 時速□kmを求めますので、距離単位はkmを、時間単位は時間を使用します。
1時間20分を時間単位で表すと、60+20=80分は80/60=4/3時間ですから、速度=距離÷時間の公式により、20÷4/3=20×3/4=15となります。
時速15kmですから、□にあてはまる数は15です。
(2) 分速ですので、3時間40分=220分と分単位に換算します。
距離=速度×時間の公式により、60×220=13200より、距離は13200mです。
km単位に換算して、□にあてはまる数は、13.2です。
(3) 時間=距離÷速度の公式により、12.6÷36=126/360=7/20となりますので、7/20時間です。
分単位に換算すると、60分×7/20=21分より、□にあてはまる数は21です。
[必修例題2]
往復の平均速度の問題です。
「往復の平均速度=往復の距離÷往復の時間」となります。
行きと帰りの速度をたして2で割ることではありませんので、注意しましょう。もともと速度の計算は、動きはじめから速度が一定であるわけではなく、距離の合計を時間の合計で割るという平均の考えになります。2つの平均をたして2で割っても全体の平均を求めたことにはなりません。例えば、3人の体重平均と2人の体重平均から5人の体重平均を求める場合でも、正しくは、5人の体重合計を5で割ることで求める、ということと同様です。
(1) 行きにかかる時間は、5÷12=5/12時間で、帰りにかかる時間は、5÷3=5/3時間です。5/12+5/3=5/12+20/12=25/12=(2と1/12)より、(2と1/12)時間で、1/12時間は、60分×1/12=5分ですから、
往復にかかった時間は、2時間5分です。
(2) 先に述べた公式を使います。往復の距離=5×2=10km、(1)の計算途中にある往復の時間=25/12時間ですので、10÷25/12=10×12/25=24/5=4.8より、
往復した平均速度は、毎時4.8kmです。
平均速度の問題は、テストで間違えやすいタイプのひとつですので、公式をしっかり身に付けましょう。
[必修例題3]
ダイヤグラムの問題です。
ダイヤグラムとは、たて軸に距離を表し、横軸に時間を表して、距離と時間の関係を表したグラフのことです。このグラフを読めるようにすることが、今後の速さの問題を解くうえで大切になってきます。グラフの直線が右上がりの部分は、時間とともに前に進んでいることを表しています(右下がりの場合は、後ろへもどることを表します)。グラフの直線が横軸と平行の部分は、時間がたっても距離が進まない、つまり、ある場所にとどまっていることを表しています。予習シリーズの問題にあるダイヤグラムを見ながら読み進めてください。
(1) グラフのaは、午前8時に出発した太郎君が、時速4kmの速度で3.2km進んだときの時刻を表しています。
時間=距離÷速さ です。3.2÷4=0.8より、0.8時間=48分ですから、
aにあてはまる数は、8時+48分=8時48分です。
(2)グラフの読み方としては、直角三角形を作って読みます。走る部分のグラフを直角三角形の斜めの辺、横軸が底辺、たて軸が高さにあたる三角形として考えると整頓できます。たて軸(距離)は、5-3.2=1.8kmで、横軸(時間)は、C地点で立ち寄っていた20分を入れた(8時+48分+20分=)9時8分から9時17分までの、(17-8=)9分間です。
9分=9/60時間ですから、速度=距離÷時間 より、1.8÷9/60=18/10×60/9=12となりますので、走る速度は、時速12kmです。
[必修例題4]
速さのつるかめ算の問題です。
家から交番までを毎分70mの速度で歩き、交番から学校までを毎分50mの速度で行きますが、距離の合計は1200mで、時間の合計は20分とわかっています。
速度×時間=距離から、かけ算の関係が2つあり、積(かけ算の答え)の合計が与えられていて、かける数の合計が与えられていますので、つるかめ算の問題になります。
家から交番までの距離を求めますので、この距離を進む時間がわかれば、答えを求めることができます。交番から学校まで行く速度である毎分50mで全体の距離を行くと仮定することからはじめます。(1200-50×20)÷(70-50)=10より、家から交番まで、毎分70mの速度で10分かかったことがわかります。70×10=700より、家から交番までの距離は、700mです。
第16回は『約数』です。
整数に関する問題の基礎となりますので、ていねいに学習して解法を身に付けてください。作業的な部分が多く、まずは、約数を求める、最大公約数を求めるといった、基礎のトレーニングが今後の学習に必要となります。
予習シリーズ146ページの説明をよく読みましょう。
[例題1]
3を約数にもつ整数を選ぶ問題です。
この例題の直前に説明されていますように、3でわり切れる整数を求めることになります。
実際に割り算をすると、3でわり切れる整数は、9と51ですので、3を約数にもつ整数は、9、51です。
[例題2]
ある整数について、その約数を求め、その個数を求める問題です。
この問題も、直前に説明されている「□=○×△となるとき、○や△は、□の約数です。」を利用します。
(1) 20=1×20、2×10,4×5 となります。
よって、約数は{1、2、4、5、10、20}の6個あります。
(2) 64=1×64、2×32、4×16、8×8 となります。
よって,約数は{1、2、4、8、16、32、64}の7個あります。
8を2回数えないよう,注意して下さい。
(3) 13=1×13 だけです。
よって、約数は{1、13}の2個です。
なお、13のように、約数が2個の整数を「素数(そすう)」といいます。素数は、最小の2から、2、3、5、7、11、13、17、19、… といくつもあります。
[例題3]
20をわると2あまる整数を求める問題です。
条件を整とんすると、20÷○=△あまり2 となり、たしかめ算の形で表すと、○×△+2=20 で,○×△=18 となります。
例題2 で利用したように、○や△は18の約数です。ですが、あまりが2であることから、わる数○は,あまりの2より大きくなければなりません。このことに、注意して下さい。
18=1×18、2×9、3×6 より、18の約数は{1、2、3、6、9、18}ですが、2より大きい整数を考えますので、求める整数は、{3、6、9、18}です。
公約数、最大公約数について、学習します。予習シリーズ148ページから149ページの説明や用語(公約数、最大公約数)をきちんと理解しましょう。
[例題4]
ベン図にかかれた2つの整数の約数や公約数について考える問題です。
28の約数は、{1、2、4、7、14、28}の6個あります。
42の約数は、{1、2、3、6、7、14、21、42}の8個あります。
ベン図のイの部分は、28と42の約数の共通の数ですから、公約数です。上にかき出した約数から、どちらにもある共通の数は、{1、2、7、14}の4個です。
よって、ア=6-4=2個、イ=4個,ウ=8-4=4個です。
予習シリーズ149ページに枠(わく)内の説明もよく読んでおいて下さい。
[例題5]
連除法を学習します。
予習シリーズ150ページの連除法の使い方をよく読み、使えるようにしましょう。
(1) (60、96)をともに素数2で割ると、(30、48)となり、まだともに2で割れるので割って、(15、24)となります。この後は、2で割れないので、次に小さい素数3で割ると、(5、8)となり、これ以上共通に割れる数はありません。
よって、共通に割った数の積、2×2×3=12より、最大公約数は12です。
(2) (42、56、98)をともに素数の2で割ると、(21、28、49)。次に小さい素数3、また5では割れないので、その次に小さい素数7で割って、(3、4、7)となり、これ以上共通に割れる数はありません。
よって、共通に割った数の積、2×7=14より、最大公約数は14です。
[例題6]
約数に関する文章問題です。
赤い色紙と青い色紙を何人かの子どもに、それぞれ同じ枚数ずつ配りますので、子どもの人数を□人にして式に整頓すると、赤い色紙については、30÷□=○、青い色紙については、48÷□=△あまり3となります。□は、30の約数であり、(48-3=)45の約数ですから、30と45の公約数を求めればよいことになります。
「公約数は最大公約数の約数」ですから、まず、最大公約数を求めます。連除法により、最大公約数は15となり、公約数は、15の約数である{1、3、5、15}です。
ですが、3のあまりがありますので、□にあてはまる数は、3より大きい{5、15}です。
よって、子どもの人数は、5人か15人です。
あまりのある問題では、「わる数はあまりより大きい数である」ことに注意が必要です。
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