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いよいよ9月です。知識の総復習や問題演習などを積極的に行っている生徒さんも多いかと思います。ですが実際の入試問題には、教科書に載っていない内容を扱った問題も多く見られます。このような問題に対応するためには、知識だけではなく「科学的思考力」や「知識をうまく組み合わせる力」も必要になります。そこで今回は、理科にまつわる雑学を通じて、いろいろな事がらへの理解を深めていきましょう。
土用の丑の日にうなぎは食べたでしょうか。日本人はウナギが大好きですが、実はウナギの生態は今でも明らかでない部分が多く残されています。そもそもウナギは海で生まれ、川などに戻って生活し、また産卵のために海へ戻る回遊魚と呼ばれる生活形態をとります(サケは逆に川で生まれ、海で生活し、また川に戻って産卵するタイプの回遊魚です。また、意外かもしれませんがアユも回遊魚です)。ウナギの産卵場所は長らく謎に包まれていましたが、ここ数年の研究でグアム島の西側沖であることがわかってきました。ちなみにウナギの稚魚はヤナギの葉のようなかたちをしていて薄いからだが特徴的ですが、成魚になる過程で変態をおこない、あの細長い形になるのです(変態をおこなうなんて昆虫みたいですね)。2011年6月に受精卵の採取に成功し、研究が進んだことでウナギに関する問題や回遊魚に関する問題がいくつかの中学校で出題されました。
北極と南極は似ていると思っていませんか?どちらも氷があって寒くて・・・でも実はかなり違うんです。北極と南極の大きな違いは陸の有無ですが、周りが海に囲まれているかどうかも大きなポイントです。
北極より南極の方が寒いです。これは北緯80度以北の地域は海:陸=9:1でほぼ海なのに対し、南緯80度以南の地域は100%陸地です(南極大陸があります)。水は冷めにくい性質があるので、北極は海の熱で暖められて南極よりは暖かくなります。南極大陸は大陸を覆う氷の厚さが平均2450mもあるため非常に高地であることも寒さに影響して、世界最低気温は1983年に−89.2度という気温が南極で観測されています。北極はそれほど寒くなく、むしろロシアの内陸部の方が寒いくらいです。
南極は陸地なのでたくさんの生物が暮らしていそうな気もしますが、北極のほうが圧倒的に多くの種類の動物が暮らしています。それは南極大陸が海に囲まれた孤立した大陸なのに対し、北極は冬になるとユーラシア大陸やアメリカ大陸と陸続き(氷続き?)になるからです。南極には陸上に哺乳類は生息しておらず、ペンギンを含めた鳥類の他は昆虫が2種類見られる程度です。それに対し北極はホッキョクグマやホッキョクギツネなどを含めた哺乳類の他にも様々な鳥や昆虫が見られます。
「南極では息を吐いても白くならない」
南極は人間の生活圏から遠く離れているため、空気が非常にきれいです。吐いた息に含まれる水蒸気が液体や固体になるには、その核となる物質(ホコリやチリなど)が必要なのですが、それが南極にはないので息が白くなることはありません。ペットボトルで雲を作る実験でペットボトル内に線香の煙を入れるのは、雲の核となる物質が必要だからです。
夜に昼間には聞こえない遠くの電車の音が聞こえたり、バイクや車の音が響いているのを聞いたことはありませんか?これは夜は静かだから音が響く、というわけではなく、ちゃんと理由があるのです。
音の速さは温度によって違い、温度が高いほど速くなります。夜間は地温が下がり地表付近の音はゆっくり進むのに対し、上空の気温はあまり下がらず音が速く進みます。そうすると音の波がカーブを描いて進み、ななめ上に向かっていった音がまるでキャッチボールのような軌道で遠くの地面に届くのです。昼間は上のほうに向かっていった音はそのまま進んでしまい、遠くまで音は届きません。
酸性・アルカリ性を調べる指示薬は、リトマス紙、BTB溶液、紫キャベツ液、フェノールフタレイン液などが中学入試で用いられます。こんなにいろいろ種類があるので「どれかひとつでいいのでは」と思ったことはありませんか?実はこれらはそれぞれに利点があるので、場面に応じて使い分けられているのです。
まずリトマス紙は手軽に用いることができるのが利点です。水溶液をリトマス紙に数滴垂らすだけでいいですし、リトマス紙は保管も簡単なので小学校では酸性・アルカリ性を見分けるのによく使われています。ですが弱い酸性や弱いアルカリ性に反応しづらく、中和の実験の際に完全中和かどうかを見きわめづらいという欠点があります。
次にBTB溶液ですが、これは中和の際にも使用することができるくらい正確です。色の変化も明確なので、中和実験でよく用いられます。ですが青(アルカリ性)から緑(中性)への変化などは、やや見分けづらいかもしれません。
紫キャベツ液は学校で用いられることはあまりないですが、指示薬を安全につくれること、材料が身近なこと、そして強酸、弱酸、中性、弱アルカリ、強アルカリの見きわめができる点が優れています。自由研究などで指示薬を用いる場合には紫キャベツ液がおすすめです。
フェノールフタレイン液はアルカリ性にしか反応しませんが、アルカリ性の水溶液を中和したい場合には非常に便利です。中性になると水溶液の色が赤から無色にパッと変化します。ですがフェノールフタレイン液は引火しやすく、危険な薬品であることが難点です。
どれも酸性・アルカリ性を見きわめるのに使う指示薬ですが、状況に応じて使い分けられているのです。
これらの内容はどれも教科書に書かれているものではありません。ですが考えてみれば「なるほど、確かにそうだろう」と思うところも多かったのではないでしょうか。こういった「なるほど」をどんどん積み重ねていくことが、「科学的思考力」や「知識を組み合わせる力」につながるのです。教科書や資料集などのコラム欄にもこういった内容が書かれていることが多いので、一度まとめて目を通しておくことをおすすめいたします。
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