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小学1年生からダンゴムシの研究を始め、6年生でダンゴムシのフンに防カビ効果があることを突き止めた高校2年生の片岡さん。片岡さんは、なぜ、ダンゴムシに興味を持ったのか、なぜ、フンに防カビ効果があるのではないかと思ったのか。そのプロセスにわが子の興味関心を育てるヒントが隠されています。今月は、“ダンゴムシのフンの防カビ効果”と“線虫でがん早期発見”について取り上げてみましょう。
皆さんもダンゴムシで遊んだことがあるのではないでしょうか。そのダンゴムシを小学1年生から研究し続けた島根県立出雲高校2年生の片岡柾人(まさひと)さんが全国267の研究の中から選ばれ、米国で5月に開催される国際学生科学技術フェアISEFに7組の日本代表の一人として参加することが昨年12月28日に公表されました。選ばれたのは、「第17回高校生科学技術チャレンジ(JSEC2019)」。理系の自由研究成果を競う全国の高校生・高等専門学校生のコンテストで、文部科学大臣賞を受賞しました。
家庭菜園にいるお互いよく似たダンゴムシとワラジムシ。突っつくと丸まるダンゴムシ、丸くならないワラジムシ。片岡さんはその理由を知りたくてプラスチックケースで飼い始めました。足の数は同じなのに斜面をすぐに転がり落ちるダンゴムシに対し、踏ん張って歩くワラジムシは足も速いし色も薄い。違いをまとめ科学コンクールに応募すると県の代表に選ばれ、全国大会へと進みます。そのことが自信となって毎年生態の違いを発表するようになったのだそうです。
4年生になった片岡さんは弟のナメクジのケースにはすぐカビが生えるのに、自分のダンゴムシのケースにはカビが生えたことがないという違いに気付きました。ミミズも飼って比較実験を行い、ダンゴムシとワラジムシの存在がカビの発生を防いでいることを突き止め、6年生の時にカビを防いでいるのはフンであり、フンを加熱すると効果が無くなることから、フンの中の微生物の効果だと推定しました。
中学では両親に頼み込んで買ってもらった「無菌で実験できる装置」を使い、フンにいる細菌やカビの培養を行い、高校生になるまでに39種類の細菌を特定し、そのうちの13種類には防カビ効果があることを発見したのだそうです。
高校2年になった昨年、島根大学の設備を借りて最強の防カビ効果を発揮する細菌のDNAを調べてもらったところ、この細菌はインド洋の深海でだけ見つかっていたブレビバクテリウム属の細菌だということが特定できたのだそうです。さらに、この細菌が発生する揮発性物質は、食品の香料として使われる3種類の硫黄化合物だということもわかったのだそうです。
審査委員代表の岩本光正・東工大名誉教授は、自分が本当に知りたいこと、成し遂げたいことを真剣に考え、自発的に課題を見付け、解決し、展開していく力を持つことが国際的視野の広い人材になることなのだと述べています。
堆積した落葉、落枝などを食べて有機物を粉砕して分解し、森、畑や菜園のためにせっせと豊かな土をつくっている小動物を“土壌生物”といいます。このなかには、好き嫌いは別にしてミミズ、ワラジムシ、ダンゴムシ、ヤスデ、ダニ、トビムシ、シロアリ、コガネムシやハエなどの幼虫がいます。
保育園児や幼稚園児に人気のダンゴムシは、枯葉も食べますが、野菜や花の苗の若い芽や根などを食べ、幼虫は特に植物の若い柔らかい部分を好んで食べてしまうので、大人に嫌われて殺虫剤の対象になっています。似ているワラジムシも同時に処分されてしまいます。ところが、ワラジムシは生きている植物はほとんど食べないのだそうです。大量に発生していない限り、ダンゴムシと間違えないで生かしておいてくださいね。
シーエレガンスの微分干渉顕微鏡像 画像引用元:ウィキペディア
“1滴の尿から極めて早期のガンを高い確率で発見できる検査技術の実用化に成功した”と、12月17日、東京のベンチャー企業「HIROTSUバイオサイエンス」の広津社長が、技術開発に対する助成金を出してくれた福岡県を訪れて報告しました。この会社は2016年、当時九州大学の助教授であった広津崇亮(たかあき)氏が設立した学内のベンチャー企業が始まりでした。
早ければ今年1月から各地の医療機関で1万円ほどを負担すれば検査を受けられるようになるということです。
全国の大学や医療機関で臨床試験を行った結果、1滴の尿から、極めて早期のがんでもおよそ85%の確率で発見できるのだそうです。この検査では、胃がんや大腸がん、それに乳がんなど合わせて15種類のがんの有無が分かるそうですが、がんの種類までは分からないのだそうです。
目がない代わりに嗅覚が優れ、がん患者の尿のにおいに集まる特性を持つ、体長1ミリほどの「線虫」が尿にどれだけ集まって来るかを計測し、その数で判断するのだそうです。この検査に使用されるのは、主に土の中に生息し、他の研究でも使われる「シー・エレガンス」という種類の線虫で、目がない代わりに発達した嗅覚で餌を見つけたり、天敵を避けたりしています。
がん患者の尿に集まる詳しいメカニズムは分かっていないのですが、大腸菌やバクテリアといった「線虫が好む餌のにおい」が「がん細胞から出る特有のにおい」と似ているためではないかとされています。
「線虫」は、線形の動物の総称で、大半の種は土壌や海洋中で非寄生性の生活を営んでいるのですが、土壌中の線虫はその数も多く、細菌など微生物を食べているものと思われ、生態的に重要な位置を占めていると思われています。人間に寄生する回虫やギョウチュウ、魚介類に寄生するアニサキス、松枯れ病を引き起こすマツノザイセンチュウなど人間生活に害を与える線虫も多く、様々な種類が自然界に存在しています。
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