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埼玉県の学校の入試が始まり、いよいよ2024年度入試が本格的にスタートしました。今回は既に入試が実施された学校の入試問題から、社会の時事問題と国語の出典につき出題された内容と今年の傾向をお知らせします。特に時事問題は、1月校で出題された時事が2月校でも出題されるケースがよくありますので、出題された時事については周辺知識の確認をしておくことをお薦め致します。
対象となるのは、以下の学校の入試です。
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栄東中:A日程(1/10、1/11実施)
大宮開成中:第1回(1/10実施)、特待選抜(1/12実施)
埼玉栄中:第1回(1/10午前実施)、第2回(1/10午後実施)、第3回(1/11午前実施)、
第4回(1/11午後実施)、第5回(1/13午前実施)
淑徳与野中:第1回(1/13実施)
開智中:第1回(1/10実施)、特待A(1/11実施)、特待B(1/12実施)、第2回(1/15実施)
浦和明の星女子中:第1回(1/14実施)
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まずG7広島サミット開催をテーマとして、大宮開成中の第1回では、日本の過去の開催地を選ばせる問題、海外の開催地を選ばせる問題、かつてのG8から外れた国として「ロシア」を答えさせる問題が出されました。また、淑徳与野中の第1回では開催地の「広島」を答えさせる問題が出されました。浦和明の星中の第1回では、G7サミット参加国について説明した選択肢から正しい内容を選ばせる問題が出されました。
G 7広島サミットは、現段階でも、今年度の注目テーマの筆頭と言えます。2023年6月18日配信メルマガ『次の入試で出る!注目の社会時事予想問題付き(G7広島サミット特集)』では、日本の開催地に関する問題を含めて、様々な問題を掲載していますので、ぜひ参考にしてください。
2025年に大阪府で開催が予定されている「万国博覧会」についても複数の学校で出題が見られました。開智中の第2回では、開催が予定されている都道府県として「大阪府」を選ばせる問題が、埼玉栄中の第3回では、2025年に大阪府で開催される予定のイベントとして、サミットやオリンピックなどを含む選択肢の中から「万国博覧会」を選ばせる問題が出されました。埼玉栄中では、近畿地方の地図から大阪府を選ばせるかたちでしたので、大阪府の地図上の位置もしっかりチェックしておく必要があります。
大宮開成中の特待選抜では、1993年の設立から2023年で30周年となった「Jリーグ」をテーマとした大問が出されました。Jリーグの各チームにはホームタウンがあるため、地理分野をはじめとして様々な問題を作成することができます。2015年度の筑波大附属駒場中でもJリーグをテーマとした出題がありました。大宮開成中では、京都の雨温図や、新潟の伝統工芸品など、ホームタウンが属する県の特徴についての問題が出されています(詳細は≪学校別:国語の出典と社会時事問題≫をご覧ください)。
周年問題は要注意で、まだ出題は確認できていませんが、発生から100年となる関東大震災にも気をつけておく必要があります。関東大震災については、2023年10月27日配信メルマガ『次の入試で出る!注目の社会時事予想問題付き(関東大震災から100年、H2Aロケット47号機打ち上げ、G20ニューデリー・サミット開催)』で詳しく説明していますので、参考にしてください。
大宮開成中の特待選抜では、LGBTについての出題もありました。「LGBT」をアルファベットで答えさせる問題、法案の修正ポイントをまとめた表が提示され、そこに穴埋めをさせる問題が出されました。LGBTについては、2023年7月22日配信メルマガ『次の入試で出る!注目の社会時事予想問題付き(入管法改正案成立、LGBT法が施行、「こども未来戦略方針」決定)』で詳しく説明しています。
その他に注意すべき問題として、開智中の特待Aで対話型生成AIを使用することのメリット・デメリットを説明させる問題、特待Bで2022年度の日本の難民認定率と難民認定数を表から選ばせる問題、出入国在留管理庁が置かれている省として「法務省」を答えさせる問題が出されました。また、第2回で「インバウンド」をカタカナで書かせる問題が出されました。
浦和明の星中の第1回では例年通り、最後の大問が時事問題で、カレンダー別に出題される形式でした。そこでは、文部科学省の外局で東京から京都に移転した機関として「文化庁」を選ばせる問題や、「骨太方針2023」についての説明で誤った内容を選ばせる問題、TPP加盟国として誤った国を選ばせる問題、新しい経理方式「インボイス」の名称を選ばせる問題、そしてCOP28の開催地としてUAEの「ドバイ」を選ばせる問題などが出されました(詳細は≪学校別:国語の出典と社会時事問題≫をご覧ください)。
インバウンドやインボイスといった紛らわしいカタカナ表記の言葉を正確に書けるようにしておきましょう。
説明文でSNSやスマホに関する文章からの出題が複数の学校で見られました。淑徳与野中の第1回では『SNSの哲学―リアルとオンラインのあいだ』(戸谷洋志)、浦和明の星中の第1回では『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』(谷川嘉活)からの出題でした。SNS、スマホなどネット社会に関する文章は今後も多く出題される可能性が高いと考えられます。
物語文では、昨年度と比べて新作(2022年10月以降の発刊)の少なさが目立ちました。
現段階で新作として確認できた物語文は、栄東中のA日程(1/10実施)のこざわたまこ『教室のゴルディロックスゾーン』(2023/6/28)、A日程(1/11実施)の村上雅郁『きみの話を聞かせてくれよ』(2023/4/7発売)です。『きみの話を聞かせてくれよ』については、2023年5月4日配信メルマガ『中学受験頻出テーマ「他者理解」を複数の中学生の視点から疑似体験できる連作短編集『きみの話を聞かせてくれよ』村上雅郁 予想問題付き!』で詳しく説明しています。
昨年度は新作の物語文を出題した、浦和明の星中、淑徳与野中、開智中がいずれも旧作からの出題でした(詳細は≪学校別:国語の出典と社会時事問題≫をご覧ください)。
むしろ古い作品からの出題が目立ち、開智中の特待Bで向田邦子『お辞儀』(2005年8月発刊)、第2回で幸田文『きもの』(1996年11月発刊)が出典となり、大宮開成中の特待選抜では三浦綾子『愛の鬼才』(1983年10月発刊)からの出題となりました。そして淑徳与野中の第1回では、遠藤周作の未発表作で2020年に発見、発刊された『影に対して 母をめぐる物語』が出典でした。
頻出作家・人気作家の作品では、重松清(埼玉栄中の第3回『また次の春へ』)、小川糸(埼玉栄中の第4回『ライオンのおやつ』)、瀬尾まいこ(埼玉栄中の第5回『あと少し、もう少し』)、宮下奈都(大宮開成中の特待選抜『よろこびの歌』)といった出典が見られました。
物語文については現段階で、新作、旧作を問わず、頻出作家に偏ることのない出典が見られています。
第1回
最後の大問が時事問題で、カレンダー別に出題される形式でした。出題内容は以下の通りです(すべて選択肢問題です)。
・国際連合の常任理事国ではない国を選ばせる。
・円・ドル変動相場制移行から50年であることから、日本の経済についての説明で正しい内容を選ばせる。
・文部科学省の外局で東京から京都に移転した機関として「文化庁」を選ばせる。
・地方選挙や地方自治についての説明で正しい内容を選ばせる。
・G7サミット参加国についての説明で誤った内容を選ばせる。
・「骨太方針2023」についての説明で誤った内容を選ばせる。
・TPP加盟国として誤った国を選ばせる。
・新しい経理方式「インボイス」の名称を選ばせる。
・COP28の開催地としてUAEの「ドバイ」を選ばせる。
第1回
説明文:谷川嘉活『スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険』ディスカヴァー・トゥエンティワン (2022/11/18発売)
物語文:櫻いいよ『世界は「 」で沈んでいく』PHP研究所 (2022/2/10発売)
第1回
◇時事問題ではありませんが、マイクロプラスチックの発生を減らすことが、SDGsのどの目標とつながるかを選ばせる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、「メガソーラー」の問題点について説明させる問題が出されました。
特待A
◇対話型生成AIを使用することのメリット・デメリットに関する問題が出されました。
◇こども基本法、児童(こども)の権利条約に関する問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、消滅危機言語(話し手が減少している言語)に関する問題、多様性に関する問題が出されました。
特待B
◇2022年度の世界の国々の難民認定率と難民認定数を示した表の中から日本を選ばせる問題が出ました。
◇時事問題ではありませんが、出入国在留管理庁が置かれている省として、「法務省」を答えさせる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、多文化共生に関する記述問題が出されました。
第2回
◇2025年に万博が開かれる予定の都道府県として、「大阪府」を答えさせる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、「インバウンド」を答えさせる問題が出されました。
第1回
説明文:梶谷真司『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』幻冬舎 (2018/9/27発売)
物語文:湊かなえ『ブロードキャスト』KADOKAWA (2018/8/23発売)
特待A
説明文:斎藤幸平「ゼロからの『資本論』」NHK出版 (2023/1/10発売)
物語文:町田そのこ『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』新潮社 (2017/8/22発売)
特待B
説明文①:三浦佳世『科学者の目、科学の芽』岩波書店 (2016年4月発売)
説明文②:三浦佳世『知覚と感性の心理学』岩波書店 (2007/10/26発売)
随筆文:向田邦子『お辞儀』(『父の詫び状』所収)文藝春秋 (2005/8/3発売)
第2回
説明文:川上和人『そもそも島に進化あり』技術評論社 (2016/7/8発売)
物語文:幸田文『きもの』新潮社 (1996/11/29発売)
第1回
◇2023年5月に行われたG7サミットの開催地「広島」を答えさせる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、以下のような問題が出されました。
・選挙についての正誤問題
・衆議院議員総選挙における、全候補者・当選者の女性の割合を古い順に並べる問題
・日本銀行の役割についての正誤問題
・国民が知りたいと思うことを広く伝える権利として「報道の自由」を選ばせる問題
・税金で運営されていないものとして「電気・水道」を選ばせる問題
第1回
説明文:戸谷洋志『SNSの哲学―リアルとオンラインのあいだ』創元社 (2023/4/12発売)
物語文:遠藤周作『影に対して 母をめぐる物語』新潮社 (2020/10/29発売)
第1回(1/10午前)
時事問題の出題はありませんでしたが、三重県四日市から東京に向かう際に、悪天候で新幹線が運転を見合わせ、高速道路が通行止めになった場合の移動方法について、想定されるルートの所要時間を参考にして答えさせる問題が出ました。
第2回(1/10午後)
※入試科目が算数・国語の2科目のため、社会はありません。
第3回(1/11午前)
2025年に大阪府で開催される予定のイベントとして、「万国博覧会」を選ばせる問題が出ました。
第4回(1/11午後)
※入試科目が算数・国語の2科目のため、社会はありません。
第5回(1/13)
時事問題の出題はありませんでしたが、日本の刑事裁判をテーマとした大問が出されました。
第1回(1/10午前)
説明文:森博嗣『自由をつくる 自在に生きる』集英社 (2009/11/17発売)
物語文:青山七恵『お別れの音』文藝春秋 (2010/9/29発売)
第2回(1/10午後)
説明文:長澤信城『「あっ!」と驚く動物の子育て』講談社 (2006/5/18発売)
物語文:壁井ユカコ『2.43 清陰高校男子バレー部1』集英社 (2015/3/20発売)
第3回(1/11午前)
説明文:山口真美『こころと身体の心理学』岩波書店 (2020/9/19発売)
物語文:重松清『また次の春へ』扶桑社 (2013/3/9発売)
第4回(1/11午後)
説明文:岩田誠『上手な脳の使い方』岩波書店 (2016/11/19発売)
物語文:小川糸『ライオンのおやつ』ポプラ社 (2019/10/9発売)
第5回(1/13)
説明文:森清『会社で働くということ』岩波書店 (1996/2/20発売)
物語文:瀬尾まいこ『あと少し、もう少し』新潮社 (2012/10/22発売)
第1回
◇「サミット」を素材として、日本の過去の開催地を選ばせる問題、海外の開催地を選ばせる問題、かつてのG8から外れた国として「ロシア」を答えさせる問題が出されました。
◇「ジェンダーギャップ指数」を答えさせる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、日本とソヴィエト社会主義共和国連邦、日本と中華人民共和国の関係史についての問題が出されました。
特待選抜
◇2023年に設立30周年を迎えた「Jリーグ」を素材とした大問で、以下のような問題が出されました。
・Jリーグのクラブが農作物の植え付けや収穫をしていることから、「ほうれんそう」「キャベツ」「レタス」の収穫量上位の県名を答えさせる問題
・環境保全を目的に、スタジアム等で行われていることを「食器」「交通」を語句指定として説明させる問題
・横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸のホームタウンである横浜、神戸が国際港湾都市として栄えたことから、輸出品目・輸入品目の上位5品目の表から、東京湾、横浜港、神戸港を選ばせる問題
・Jリーグのホームタウンの雨温図から京都を選ばせる問題
・新潟県の伝統的工芸品を選ばせる問題
・淡路島と四国を結ぶ橋を答えさせる問題
※Jリーグを素材とした問題は、2015年度の筑波大附属駒場中でも出題されましたので、要注意です!
◇日本に在留する外国人の数が過去最多になったニュースを素材とした問題が出されました。
◇2023年6月16日に「LGBT理解増進法案」が国会で可決されたニュースを素材として、法案の修正ポイントを穴埋めさせる問題などが出されました。
◇「マイナ保険証」について賛成・反対どちらかの意見を説明させる問題が出されました。
第1回
説明文:鈴木孝夫『日本の感性が世界を変える』新潮社 (2014/9/26発売)
物語文:宮下奈都『よろこびの歌』実業之日本社 (2009/10/17発売)
特待選抜
説明文:日高敏隆『動物と人間の世界認識』筑摩書房(2007/9/10発売)
物語文:三浦綾子『愛の鬼才』新潮社 (1983/10/1発売)
A日程(1月10日)
◇岸田首相が2023年4月の国会で日本の花粉症対策の現状や課題にふれた件を素材として、「なぜ、戦後にスギやヒノキが多く植林されたのか」を説明させる問題が出されました。
◇時事問題ではありませんが、「OECD」の正式名称(経済協力開発機構)を選ばせる問題、OECD加盟国と加盟国以外の国々の温室効果ガス排出量を比較して答えさせる問題が出されました。
A日程(1月11日)
時事問題としての出題はありませんでしたが、「空き家の増加」という近年話題となっている問題について、「空き家が増えることで、どのような問題がおこりうるか」を説明させる問題が出されました。
A日程(1月10日)
説明文:山口仲美『日本語が消滅する』幻冬舎 (2023/6/28発売)
物語文:こざわたまこ「ホモ・サピエンスの相変異」(『教室のゴルディロックスゾーン』所収)小学館 (2023/6/28発売)
A日程(1月11日)
説明文:市橋伯一『増えるものたちの進化生物学』筑摩書房(2023/4/7発売)
物語文:村上雅郁「シロクマを描いて」(『きみの話を聞かせてくれよ』所収)フレーベル館 (2023/4/7発売)
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