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来年2024年度中学入試の国語・物語文で出題確率が高いと思われる作品を、ベストテン形式で選びました。作品ごとにどの層の中学で出そうかを書いておきました。具体的な学校名もできる限り予想しています(昨年度の予想では、豊島岡女子学園中、学習院女子中等科、学習院中等科で的中しました)。
入試では、既知の作品が出ると非常に有利です。6年生のお子様方は作品を読む時間がないかと思いますので、各作品をご紹介したメルマガのリンクをそれぞれ貼っておきますので、あらすじ、中学受験的テーマ、予想問題を確認して、解答のポイントをつかんでください。5年生以下の皆さんにはぜひご紹介した本を手に取って読んで頂きたいです。
第1位:『この夏の星を見る』辻村深月(角川書店)
【上位校から最難関校。特に鷗友学園女子中・本郷中・栄東中(東大)は要注意】
第2位:『きみの話を聞かせてくれよ』村上雅郁(フレーベル館)
【中堅校から最難関校。特に海城中・浦和明の星中・東邦大東邦中は要注意】
第3位:『月の立つ林で』青山美智子(ポプラ社)
【上位校から最難関校。特に慶應普通部・渋谷教育渋谷中・海城中は要注意】
第4位:『おくることば』重松清(新潮社)
【中堅校から上位校。特に成城中・暁星中・江戸川取手中は要注意】
第5位:『雪の日にライオンを見に行く』志津栄子(講談社)
【中堅校から上位校。特に立教女学院中・筑波大附属中・鎌倉女学院中は要注意】
第6位:『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』天川栄人(講談社)
【中堅校から上位校。特にサレジオ学院中・鎌倉女学院中・品川女子学院中は要注意】
第7位:『つぎはぐ、さんかく』菰野江名(ポプラ社)
【上位校から最難関校。特に渋谷教育渋谷中・早稲田中・高輪中は要注意】
第8位:『夜空にひらく』いとうみく(アリス館)
【上位校から最難関校。特に早稲田中・サレジオ学院中・中央大附属中は要注意】
第9位:『給食アンサンブル2』如月かずさ(光村図書出版)
【中堅校から最難関校。特に学習院中等科・慶應湘南藤沢・田園調布学園中は要注意】
第10位:『文通小説』眞島めいり(講談社)
【上位校から最難関校。特に浦和明の星中・横浜雙葉中・海城中・芝中は要注意】
『この夏の星を見る』辻村深月(角川書店)
中学入試頻出作家の辻村深月氏による作品であり、「友人関係」や「家族関係」といった重要テーマをベースにしながら、「コロナ禍に向き合う」という新たな重要テーマに真向から取り組んだ、まさに今年を代表する傑作です。テーマの強さはもちろん、辻村深月氏ならではの、登場人物たちの心の移ろいが鮮明に浮かび上がってくる心情表現が満載で、今後の中学入試の新たな定番作品となること必至です。男子校・女子校問わず上位校から最難関校での出題が濃厚と考えられますが、特に大人を読者対象とした長編小説からの出題が多い鴎友学園女子、本郷、栄東(東大)は要注意です。
☆2023年7月29日配信メルマガ
来年度入試、再来年度入試で出題が一気に集中する可能性が高い稀有の傑作!『この夏の星を見る』辻村深月 予想問題付き!
『きみの話を聞かせてくれよ』村上雅郁(フレーベル館)
amazon『きみの話を聞かせてくれよ』村上雅郁(フレーベル館)
軽快なトーンで読みやすい文体ながら、登場人物たちの心の傷の深さが読み手の胸に強く迫ってくるような、入試で出題対象にされやすい心情表現に満ちた連作短編集です。この中から、「男らしさ・女らしさ」といった固定観念にとらわれた言動に苦しむ人物たちの姿を描き、「他者理解」をテーマとした短編『タルトタタンの作り方』を第2位とします。出題が予想される学校は、中堅校から最難関校まで幅広くなりますが、特に「他者理解」をテーマとして何気ない表現からの読み取りを求める傾向のある海城中、浦和明の星中、東邦大東邦中は出題される可能性が高いと考えます。
☆2023年5月4日配信メルマガ
中学受験頻出テーマ「他者理解」を複数の中学生の視点から疑似体験できる連作短編集『きみの話を聞かせてくれよ』村上雅郁 予想問題付き!
『月の立つ林で』青山美智子(ポプラ社)
その著作が毎年のように出題される頻出作家、青山美智子氏による連作短編集の中から、短編『ウミガメ』を第3位とします。「友人関係」「恋心」をメインテーマに、「苦境に向き合う」というテーマも含む珠玉の一編です。友人関係・家族関係に苦しむ主人公が、思わぬかたちで出会ったクラスメイトと心の交流を通して変化して行く過程が、ほんの細やかな心の揺れ動きをとらえた表現で描かれています。上位校から最難関校で出題される可能性が高く、特に大人向けの文章で「苦境からの再生」を描いている点で、慶應普通部・渋谷教育渋谷中・海城中は要注意です。
☆2023年3月4日配信メルマガ
中学入試頻出作家が「人と人とのつながり」を描いた連作短編集!『月の立つ林で』青山美智子 予想問題付き!
『おくることば』重松清(新潮社)
amazon『おくることば』重松清(新潮社)※文庫本です。
中学入試の最重要作家である重松清氏が「コロナ禍」をテーマにつづった随筆と短編の物語で構成される短編集から、短編物語『反抗期』を第4位とします。コロナ禍で急速に変化する状勢に直面した小学6年生たちの心の揺れ動き、友人関係の変化が、重松清氏ならではの一見何気なく見える言動の中に深い想いが込められた表現で描かれています。男子校・共学校の中堅校から上位校を中心に幅広い学校での出題が予想されますが、一見乱暴にも見える無骨な言葉遣いによる会話を通して、人物たちが気持ちをぶつけ合いながら成長して行く描写に満ちている点で、成城中、暁星中、江戸川取手中は要注意です。
☆2023年8月27日配信メルマガ
コロナ禍に向き合う小学生男子が無骨な言葉遣いで気持ちをぶつけ合いながら他者の心情をくみ取って行く成長物語!『おくることば』重松清 予想問題付き!
『雪の日にライオンを見に行く』志津栄子(講談社)
amazon『雪の日にライオンを見に行く』志津栄子(講談社)
第24回ちゅうでん児童文学賞で大賞を受賞(2022年3月)した作品です。「友人関係」、「親子関係」という重要テーマが描かれており、孤独と向き合い、その中で出会った他者との結びつきを深め合いながら成長して行く主人公たちの姿が、読み手の心を強くひきつける点が魅力的です。出題が予想される学校は中堅校から上位校で、男子校・女子校・共学校どこでも出題する可能性は高いと考えますが、中国残留邦人といった歴史的背景や、「孤独」というテーマを含んだ深みのある構成である点を考慮すると、立教女学院・筑波大附属中、鎌倉女学院での出題可能性が特に高いと考えます。
☆2023年4月8日配信メルマガ
「孤独」でつながる友人関係を描いた傑作!『雪の日にライオンを見に行く』志津栄子 予想問題付き!
『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』天川栄人(講談社)
amazon『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』天川栄人 予想問題付き!(講談社)
重要テーマ「挫折からの再生」をメインテーマに、「いじめ」や「SNSとの向き合い方」といった社会的テーマも含んだ一冊です。東京から訳あって地元に戻って来た主人公が心の傷をいやしながら成長して行く姿を軸に、登場人物たちがそれぞれの想いをぶつけ合い、刺激を与え合いながら、他者を理解し受け入れることで成長を遂げて行くという、まさに中学入試にはもってこいの内容です。中堅校から上位校まで幅広い学校での出題が予想されますが、「挫折からの再生」を描く作品を多く出題する傾向があるサレジオ学院中、鎌倉女学院中、品川女子学院中での出題可能性が特に高いと考えます。
☆2023年5月13日配信メルマガ
重要テーマ「挫折からの再生」を読み解く力を培う一冊!『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』天川栄人 予想問題付き!
『つぎはぐ、さんかく』菰野江名(ポプラ社)
第11回ポプラ社小説新人賞(2021年)を受賞した作品です(受賞時のタイトルは『つぎはぐ△』)。最近の中学入試物語文で難化の一途をたどる頻出テーマ「家族関係」を描いたもので、血の繋がらない三人の兄弟が悩みもがきながら絆を深めて行くといった、小学生には難度の高い設定ではありますが、読み手が心に痛みを感じるような登場人物たちの切実な心の動きが丁寧に描写されています。上位から最難関の男子校・共学校での出題が予想されますが、特に、大人向けの作品から小学生には理解の難しい設定の文章を出すことの多い渋谷教育渋谷中、早稲田中、高輪中は要注意です。
☆2023年6月25日配信メルマガ
難化を極める頻出テーマ「家族関係」の新たな定番パターンを学習できる一冊!『つぎはぐ、さんかく』菰野江名 予想問題付き!
『夜空にひらく』いとうみく(アリス館)
『朔と新』などの著者・いとうみく氏による本作品は、「挫折からの再生」という重要テーマを真正面から描ききった極上の逸品です。過去の自分の失敗に向き合いながら葛藤し、再生へと向かって行く主人公の姿が、読んでいて心がひりひりと痛むような、いとうみく氏ならではの心情表現でつづられます。刊行時期(2023年8月8日)がもう少し早ければ、より上位に挙げた作品です。上位校から最難関校まで幅広い学校での出題が予想されますが、特に心に深い傷を負った人物を描いた作品を出題する傾向の強い、早稲田中、サレジオ学院中、中央大附属中で出題される可能性が高いと考えます。
☆2023年11月3日配信メルマガ
重要テーマ「挫折からの再生」を読み取る力が鍛え上げられる一冊!『夜空にひらく』いとうみく 予想問題付き!
『給食アンサンブル2』如月かずさ(光村図書出版)
amazon『給食アンサンブル2』如月かずさ(光村図書出版)
前作の『給食アンサンブル』が鴎友学園女子(2020年度)や学習院女子(2019年度)、香蘭(2019年度)で出題されたように、本作品も多くの中学校からの注目を集めるでしょう。中学二年生6人を主人公とした連作短編集ですが、その中から、負傷が原因で部を辞めた主人公が自分の本心に気づき、新たな一歩を踏み出して行く過程を描いた『アーモンドフィッシュ』を第9位とします。中堅校から最難関校まで幅広い学校での出題が予想されますが、特に等身大の人物の「自己理解」を扱う文章を出題する傾向の強い、学習院中等科・慶應湘南藤沢・田園調布学園中は要注意です。
☆2023年3月11日配信メルマガ
2大重要テーマ「他者理解」「自己理解」が共存する連作短編集!『給食アンサンブル2』如月かずさ 予想問題付き!
『文通小説』眞島めいり(講談社)
著者の眞島めいり氏は、まだ著作品が少ないながらも中学入試での注目度が非常に高く、今後間違いなく頻出作家の一人になると考えられます。親友と離れ離れになった寂しさ、進路を決められない悩みを抱えた中学3年生の女子が、親友とのすれ違いに苦しみながら心を成長させるという、頻出テーマ「友人関係」の王道とも言えるパターンを描ききった物語です。上位校から最難関校まで幅広い学校での出題が予想されますが、特に、ささやかな心情の動きを丁寧に描く作品を多く出題する浦和明の星中、横浜雙葉中、男子校ですが女子の心の揺れ動きを容赦なく出してくる海城中、芝中は要注意です。
☆2023年7月8日配信メルマガ
頻出テーマ「友人関係」で使われる高難度な心情表現を読み取るための極上のテキスト!『文通小説』眞島めいり 予想問題付き!
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